コロナ禍以降、お客様や会社を訪問して行う実地の税務調査だけでなく、税務署からお尋ね文書を送付して申告内容の確認をしていただくものが増えてきています。
申告書の内容に誤りがあると思われるので見直してほしいというものから、そもそも申告書を提出しているかどうかの確認まで様々あります。
今回は、そんなお尋ね文書が送付されてきた場合の対応について書いてみたいと思います。
お尋ね文書とは
お尋ねとは、税務署などが納税者に対して回答を求めることを言います。
税務署から問い合わせの電話がかかってくることもありますが、文書が送付されてくるバージョンだと思っていただければいいです。
文書が送付されてくる場合は同じ時期にほかの事業者にも一括して送付していることが一般的です。
文書の回答がない場合には電話での回答をお願いすることも多いです。
いきなり電話での回答を求めることもありますが、文書での回答を求めたほうが後で言った言わないの争いを避ける意味で証拠をつかんでおきたいという目的もあります。
文書の表題に「○○のお尋ね」と書いてあることもあれば、「確認の依頼」や「見直しの依頼」など表現は異なりますが、これらすべてお尋ね文書という扱いです。
お尋ねという理由は、税務署側では誤りだろうと想定はしているけどまだそこまで言い切れずお客様側に確認をしてほしいという「お願い文書」という位置づけです。
ですので、回答をするしないに強制はありません。
しかし、税務署側は誤っているであろうと想定しているため回答がないと困ります。
回答を自分の足=電話で、さらには事業所へお伺いすることで回答を求めていきます。
お尋ね文書の末尾にはよく「○○税務署長の行政指導として~」という文言が入っています。
お尋ね文書は税務調査ではないからです。
【事務所お知らせ】税務調査と行政指導の違い
税務調査と行政指導の違いのイメージですが、例えば申告漏れがあった場合に、
- 税務調査:税務署側が事業者に見直しを求める
- 行政指導:事業者自ら見直す
という違いがあります。
そのため、税務調査により申告もれを指摘された場合には罰金(加算税)がかかりますが、行政指導で申告もれが分かった場合には罰金はかかりません。
行政指導ですと、
という感じです。
税務調査か行政指導かは税務署側が必ず明示することになっています。
お尋ね文書が来たら
では、お尋ね文書が来たらどうしたらいいのでしょうか?
まず、その文書を読んでみます。
難しいことが書かれているかもしれませんが、この文書の内容を理解することが大事です。
読まずに放置してしまって税務署に連絡をせず、行政指導だったのが税務調査に切り替わっていた、ということもあります。
もし何度読んでも理解できなければ、税務署の担当者または関与税理士に相談してみましょう。
お尋ね文書にも内容は様々ですが、一般的に返信用封筒が入っており税務署への回答を求められます。
そのうえで、修正申告書の提出や資料の追加提出が求められます。
具体的に、以下のようなケースが考えられます。
完全な申告書の誤り
数字の写し間違え、足し算誤りなど明らかに申告書を見て間違っている場合には修正申告書を作成して追加で税金を納めます。
また、もし税金が少なくなるようなら更正の請求というものをして税務署から税金の還付を受ける手続きを行います。
資料や明細書・計算書が合ってない
この場合も資料や明細書・計算書などを確認して誤りがあれば修正をします。
修正申告書の提出が求められることもあります。
添付書類不足
添付書類を追加で求められていますので、その書類を準備のうえ提出をします。
税務署からの連絡を無視しない
お尋ね文書が来たからと言って税務調査ではないため驚かないでください。
この段階ではまだ行政指導のため誤っていたとしても罰金がかかるわけではありません。
もし回答までに時間がかかりそうな場合や、内容について疑問があるのなら税務署の担当官に連絡を取りましょう。
ここでのポイントは、
です。
税務署側としては反応がないのが一番困るんですよね。
文書を送ったのに返ってこない。だったら電話をかけよ。、いや実際お伺いしたほうがいい。税務調査にしよう…と段々税務署側が強気になってきます。
できれば無用なトラブルを避ける意味でも、お尋ね文書だからといって無視をするのはよくありません。
まとめ
私も源泉所得税担当のときに「扶養控除の見直し」という事務をやっていたのですが、すぐ回答をしてくるところとそうでないところが分かれていましたね。
基本回答して来ないところは「何か問題あるかも?」と疑いの目を持ってしまっていました。
当然何度も電話をかけてましたし実際事務所に訪問させていただき回答を求めたこともあります。
強制力はないにせよ、ほぼ何かしら回答をいただきたいところです。
では。