税務調査を行う際、調査官は法人や個人事業主の方に対して質問をして帳簿書類その他の物件を検査をする権限を持っています。
これを質問検査権というわけですが、ここでいう「帳簿書類その他の物件」って何を示しているのでしょうか?
今回のポイントは、調査の際に確認を受けるのは帳簿書類だけではない、ということです。
【事務所お知らせ】帳簿とは?書類とは?
法人や個人事業主は、帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引に関して作成または受け取った書類を保存しなければならない、とされています。
帳簿には、総勘定元帳・仕訳帳・現金出納帳・売掛金元帳・買掛金元帳・固定資産台帳・売上帳・仕入帳などがあります。
書類には、棚卸表・貸借対照表・損益計算書・注文書・契約書・請求書・領収書などがあります。
「その他の物件」がクセもの
帳簿書類だけではなくその他の物件まで確認を受けます。
「その他の物件って何?」ということですがこれが問題です。
帳簿書類より範囲が広いわけです。
例えば、美容室を営まれている個人事業主の方の税務調査において、帳簿書類を準備したにも関わらず「カルテや予約表まで確認させてください」と言われました。
では、果たしてカルテや予約表まで調査官に見せないといけないのか、ということです。
売上を計算するときに領収書の控え(レシートなど)から集計していると伝えたのにここまでなぜチェックされるのか。
それはカルテや予約表も最初に記入するもの(原始記録)で売上を計算する証拠となる資料だからです。
これらをもとに顧客の管理をしてそのとおり売上が計上されるのかどうかを確認するためです。
領収書の控えなどを確認してあきらかに金額が少なそうだと思った調査官は、カルテや予約表なども確認したがります。
このほか、単なるメモ書き・個人事業主が持参する手帳・レジペーパーなども調査対象となりえます。
帳簿書類とともに原始資料の保存も
「帳簿書類その他の物件」という言葉にあるように、帳簿書類だけではなくそれにかかわるものも含めて質問検査の対象になるというわけです。
つまり、
ということです。
そのため、領収書や請求書だけにとどまらない可能性が高いです。
特に現金商売を行っており、お客様へ領収書やレシートの渡し忘れが多いと思われている業種では、それらの保管分だけで作られた帳簿は不完全だと思われてしまいます。
そこで、カルテや予約表などの原始資料も確認対象になってきます。
売上や経費として帳簿に記載されているものだけだと不完全だと想定された場合は原始資料も含めた調査が行われます。
なので、売上がもれているだけではなく経費がもれているということもありえます。
例えば、帳簿において外注費として払っている領収書が見つからないとします。
この場合にはそもそも経費として認められるのか、不正をしていないかが疑われます。
しかし、個人事業主が手帳に誰に・いつ仕事をやってもらったかなどをメモしていたとしたら、この日外注費として支払った事実が分かったりします。
もちろん先方に確認したりしますが、経費性が認められる証拠の一つとなりえます。
必ずしもマイナスだけではないということです。
まとめ
税務調査においては、「帳簿よりも書類、さらに前の原始記録をチェックしなさい」とよく言われます。
遡って行けば真実が見えてきます。
では。