先日、大阪にあるジュンク堂書店で、とある本の新刊が出たのを発見して勢いで買ってしまいました。
租税条約届出書について記入が分からない場合におススメの一冊をご紹介したいと思います。
【事務所お知らせ】租税条約届出書
都心の税務署で源泉所得税の担当をしていた時は、非居住者のご相談が大半を占めていました。
その際、各国との間で租税条約が締結されている場合、税額の軽減を受けるために「租税条約に関する届出書(以下、租税条約届出書)」を提出することになっています。
ただその記入例を確認したいからと言って国税庁ホームページを見ても載っていない(分かりにくい)のです。
そこで、当時一緒にいた先輩からこちらの本を勧められました。
前回出版されたのが2017年ですから6年ぶりです。
定価5,720円とそこそこのお値段がします(苦笑)。
こちらの本は税務署でも毎年買って誰でも見れるようにしてありました。
記入例だけでなく基礎的事項として届出書そのものに関するお話も書かれていたりします。
本の使い方
租税条約届出書には、様式が1~10まであります。
さらに特典条項のある租税条約の適用を受ける場合には「特典条項に関する付表(様式17)」を添付する必要があります。
この本では、様式ごとに設例と届出書の記入例が解説されています。
最初は、特典条項のない租税条約届出書の記入例について書かれてあります。
その後は、特典条項に関する付表も記入する必要がある国に関する届出書と付表の記入例が解説されています。
実際電話で相談をお受けしたとき、「届出書の記入の仕方が分かりません」と聞かれたらどうしていたか。
まず、取引内容を聞きとり届出書の様式を確認します。
そのうえでこの本にそって見合う記入例を探していく形です。
この際、即答はせずにいったん電話を切ってから折り返すのが原則です。
また、例えば中国から来た留学生アルバイトに支払う給与に関する租税条約届出書については、届出書だけでなく在学証明書など添付書類が必要です。
これらのご案内も併せて行うというのもありますので、電話がかかってきたらいったんこの本を読んでみて該当しそうな部分を確認しておくようにしていました。
各設例にはイメージがしやすいように取引図解が入っていたり添付書類の案内も掲載されています。
記入例があると安心しませんか?
租税条約届出書もそうなんですけど、税務関係の届出書や申請書って全般的に記入例は少ない気がするんです。
別に法律的に定まっていないからとか、税額に影響がないからと思われているのかもしれません。
源泉所得税担当では届出書の記入内容の審査をすることになっていました。
不備があったらその都度電話で訂正を求めたり取り下げてもらったりするのですが、「そりゃ記入例すら案内ないのに訂正って酷な話だな」と個人的に感じていました。
では、届出書を適当に書いて提出してしまえばいいじゃないか!という判断は危険かなと。
法律上、非居住者が支払者を経由して支払日の前日までに税務署に提出することになっています。
適当に記入された届出書が取下げられたとしたら租税条約の軽減が受けられないことを意味します。(例外もありますけど)
なので、提出するからには記入例を確認してから提出したほうがいいと私は思います。
軽微なものなら受け付けてもらえたりもしますし、電話がかかってきても大事にはならないでしょう。
まったく記入していないわけではないですし。
この本をおススメするのは普段から租税条約届出書を目にするとか記入をしている方や税理士などです。
毎回届出書の記入について不安を抱えているのなら一冊手元に置いておきたいです。
まとめ
別に著者から紹介を依頼されたわけではありません。
自分がお世話になっていて参考になる本をご紹介しました。
では。