年金を受け取っている方向けに令和6年分の扶養親族等申告書作成のご案内が届き始めているようです。
提出が必要な方は記入をして日本年金機構に郵送することになるわけですが、そもそもなぜこの書類を出す必要があるのかと書類のポイントについて解説してみます。
【事務所お知らせ】扶養親族等申告書とは
公的年金には、老齢・障害・遺族という大きく3種類の年金があり、このうち税金が課せられる老齢年金について受け取っている方が申告書を提出します。
年金は、年金が支払われる都度所得税が天引きされています。事前に所得税を前払いしている状態です。
1年たったら正しい所得税を計算して確定申告をすることで追加で納めるか還付を受けられます。
しかし、年金を受け取っている方全員に確定申告をしていただくのは大変です。
そのため、扶養親族等申告書を提出してもらうことで「年金版の年末調整」を行って所得税の精算をしますよと。
扶養親族等申告書を出す出さないで税率は変わりませんので、結果的に確定申告自体不要にします、というイメージです。
給与において年末調整をするのは「扶養控除等申告書」を会社に提出している人です。
給与の支払者は会社ですから会社に提出をするわけです。
では、なぜ令和6年分という来年の扶養親族等申告書を今書かせるでしょうか?
これは、本来最初の年金支払時に書いて提出をいただくわけですが年金は2か月分を後払いで受け取ります。
12月支払は10月分・11月分、翌年2月支払は12月分・1月分となっています。
年内に申告書を書いてもらっておけば後払いである年金支払いを気にしなくてもいいと思われます(あくまで私見です)。
同封されている書類でチェックしたいもの
先日、両親に送られてきた扶養親族等申告書提出のご案内を確認してみました。
この中で、まず最初にチェックしておきたいのは「大切なお知らせ」と書かれてある1枚もののパンフレットです。
扶養親族等申告書の提出が必要なのかどうかを判断します。
この大切なお知らせには書かれていないのですが、
勤務先には「扶養控除等申告書」を提出しているので、ほぼ同じ内容を記入する扶養親族等申告書を書いて提出してしまうと二重で控除を受けてしまうことになります。
給与と年金両方もらっている人は、所得の種類が異なりますので確定申告が必要ですが、二重で控除を受けてしまっているので追加で所得税を納める可能性が高いです。
「大切なお知らせ」のフローチャートを見て提出が必要だとなった場合に、「令和6年分扶養親族等申告書作成と提出の手引き」を見ながら記入をする、という流れです。
「扶養親族等申告書作成と提出の手引き」より
手引きに関しては、フローチャート図を見ながら記入をしていくといいでしょう。
2ページと3ページに見開きで記入例も掲載されています。
こちらの書類の提出するのは所得税の計算のためですので、年金の請求とは異なります。
何が言いたいのかというと、
ということです。
具体的に、
- 配偶者控除における配偶者:婚姻関係があること(内縁関係や事実婚はダメ)
- ひとり親控除:事実婚はダメ
- 障害者控除:特別障害が普通障害かの区分
→障害年金の等級とは一致しない
→要介護状態やアルツハイマー型認知症というだけでは障害者控除は受けられない
事実婚であったとしても年金では配偶者加給金が加算されて受け取ることができますが、税金上では配偶者控除が受けられないということは考えられます。
また、要介護状態で障害者控除を受ける場合には市区町村で「障害者控除対象者認定書」を発行してもらうことが必要です。
今回の改正点ですが、国外居住の扶養親族等がいる場合の取扱いですのであまり一般的ではないかなと。
配偶者や扶養親族が退職手当を受ける見込みがある場合の記入方法が難しいですが、妻や子どもがパート勤務先から退職金を受けることって一般的ではないかなと。
なので、手引きを見ながら分からないところは年金事務所などの窓口に問い合わせることも大事ですね。
まとめ
今回は、時期的にお問い合わせが多い扶養親族等申告書について解説してみました。
お勤めされていた方ですと年末調整の時期に会社から届く扶養控除等申告書と同じようなことを書く、というイメージを持ってもらえたらなと。
また、スマホやPCから扶養親族等申告書の提出ができるようになりましたのでこちらのほうがさらに便利です。
入力もれも防げますので。
では。