太陽光発電の売電収入の取扱いとインボイス制度

和歌山県は農業が盛んで、みかんや梅・花など様々な収穫が行われています。

また、日差しに恵まれ温暖な気候であることから農家をはじめ一般のご家庭でも太陽光を使った発電設備を設置されていたりします。

先日、数年前の税務調査で太陽光発電の売電収入が漏れていたことを指摘されたというお話をお伺いしましたので今回整理してみたいと思います。

また、これに対する消費税についてインボイス制度導入後どうなるのかも併せてみていきます。

【事務所お知らせ】  

太陽光発電による売電収入

太陽光発電による売電収入には大きく2種類あります。

  • 余剰電力の売電:自宅や事務所で使った余りを売却する
  • 全量売電:電気の全量を売却する

これら売電収入は設置場所や売却内容に応じて所得区分が変わります。

余剰電力の売却

余剰電力の売却の場合をまとめておきます。

自宅(自宅で使った余りを売却) 雑所得
店舗併用住宅(店舗・自宅で使った余りを売却)
営農型(農業と発電の両立)
事業所得
賃貸建物(共用部分で使った余りを売却) 不動産所得

サラリーマンが自宅に太陽光発電を設置して余剰電力を売却したら雑所得になります。

また、個人事業主が店舗や事務所に太陽光発電を設置して余剰電力を売却すると事業所得になります。

農家の方が農業経営のため太陽光発電を設置して余剰電力を売却した場合も事業所得になります。

一方で、事業とは関係のない自宅で太陽光発電を設置して余剰電力を売却すると雑所得になります。

賃貸アパートを経営している方が、共用部分に使うために屋根上に太陽光発電を設置して余剰電力を売却すると不動産所得になります。

太陽光発電設備の耐用年数は17年とされています。

余剰電力の売却において、必要経費になる減価償却費の計算については、業務用割合(=発電量に占める売電量の割合)を乗じて計算することとされています。

「業務量割合分を抜き出して」必要経費にしてね、ということです。

全量売電

全量売電の場合をまとめておきます。

事業として行われている場合 事業所得
上記以外 雑所得

余剰電力の売却よりもシンプルですね。

例えば、サラリーマンが全量売電を行っている場合には、事業として行われている場合を除いて雑所得となります。

つまり、「事業で行われているかどうか」がポイントになります。

インボイス制度との関係

先日、税理士会の研修を受講していて売電収入のインボイス対応についてお話されていましたのでまとめておきたいと思います。

太陽光発電による売電収入がある場合、インボイス発行事業者の登録をしないと消費税相当額は減額されてしまうのでしょうか?

全量売電については、電力会社との間の契約により生活に使うことなく数年間にわたって売却するものですので消費税は課税されます。

一方で、自宅に設置した太陽光発電により余剰電力を売却した場合には、生活用に使うために設置した太陽光発電設備から生まれた電力であるため消費税は課税されません。

インボイス制度により、FIT認定事業者がインボイス発行事業者の登録を受けない場合には、電力会社は仕入税額控除ができなくなります。

FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)
太陽光発電した電力を電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度
→同制度を利用するには国の認定を受ける必要がある

そのため、資源・エネルギー庁では、課税事業者であるFIT認定事業者に対してインボイス発行事業者の登録と、電力会社へ登録番号を通知するように案内しているようです。

なお、免税事業者はインボイス制度に関する対応は不要です。

インボイス発行事業者の登録がなくても、現行の買取価額が変更されることはないとされています。

したがって、

インボイス発行事業者の登録をしなくても消費税相当額の減額がされることはない

ということのようです。

まとめ

今回は、太陽光発電の売電収入の取扱いとインボイス制度についてまとめてみました。

太陽光発電を設置されている方が多いので、税務調査で「収入計上もれ」が狙いうちされているような感覚です。

またちょうどいいタイミングで売電収入のインボイス対応の研修がありましたので今回自分なりにまとめておきました。

では。

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