一人親方とは、建設業などで労働者を雇用せず、自分自身と家族などだけで事業を行う事業主のことを言います。
一人親方の特徴は次のとおりです。
- 請負元が必ずいること
- 請負元の就業規則に縛られないこと
- 一日の仕事の時間や量は自分で決めていること
- 仕事に必要な人・物・道具・材料は自分が準備していること
- 仕事の報酬は出来高払いで、時間給や給与ではないこと
- 仕事をやるかどうかは自分で判断していること
一人親方って個人事業主の中でも税務調査に入られやすいと思います。
これは建設業を営む会社でもいえることでありますが。
今回は、一人親方が税務調査に入られる可能性が高いと思っている理由とその対策について書いてみたいと思います。
【事務所お知らせ】一人親方が税務調査に入られやすい理由
一人親方が税務調査に入られやすいと思っている理由は、そもそも一人親方というのは個人事業主です。
そのため受け取った収入や経費を自分で集計して確定申告をする必要があります。
給与をもらうサラリーマンは年末調整という手続きがあるため自分で確定申告をしなくてもいい場合がほとんどです。
しかし、一人親方は自分で確定申告をしないといけません。
ただ、私の家族も周りの建設業を営む方もそうですけど、職人気質といいますか仕事一直線なんですね。
「経理は二の次・申告なんて後回し」とおっしゃる方が多いんですね。
もちろん一人親方の奥様など家族の方が経理をされていたら不安は少ないとは思います。
しかし、現場で必要なものを買ったときの領収書やレシートを破棄してしまったとか、工事の現場に置き忘れてしまい紛失したなど書類管理がずさんな方も多いです。
また、外注として手伝ってもらった方に現場で現金手渡しをして領収書も何も渡さないということもあるようです。
その逆で、外注を頼まれて現場で現金手渡しでもらったものをそのままにしておく(=本来は収入計上すべきですけど申告しない)など。
実際、法人である建設業でもこのような話は日常茶飯事であると思われているため、建設業の税務調査は狙われる可能性が高めだと思います。
もちろんほかの業種と同じように売上の計上もれなど指摘されるものはありますけど、不正行為と認められてしまう取引が多いように思います。
最大のポイントは、書類管理と外注費の処理だと考えています。
書類の管理を考える
先ほど書きましたけど、現場では道具や材料を持ち運ぶためになかなか領収書や請求書などの書類を持参することがめんどくさく感じるものです。
持参したとしても雰囲気で相手に渡しづらいことがあるかもしれません。
もし先方に書類を渡すのなら始業時間前や昼休憩・就業時間後・後日渡すという方法でもいいでしょう。
書類は必ず作って渡す、という癖はつけておくべきです。
領収書の控えや材料を店で買ってきたレシートなどは帰ったらすぐ封筒などに保管をしていつでも経理ができるようにしておきましょう。
机の上に放置していたら紛失の原因になります。
家族が経理をしているのならその日のうちに渡しておくことですね。
工事が終わって受け取った収入代金も必ず先方に領収書をお渡して控えをきちんと管理することも大事です。
どうしても現場で直接お金を渡すことも多いでしょうから領収書などの書類のやり取りはきちんとしておきたいものです。
やっぱり書類の管理不備により税務調査が入られやすいのかなと。
経費として認められるためにはやっぱり証拠となる書類があって初めてようやく検討できるのかなと思いますので。
外注費は狙われる
同業者に外注を頼むことも多いかと思います。
その際に支払う外注費も現金手渡しが多いために領収書も何も渡さないことも多いようです。
そうなると税務署側としては「本当に外注費を支払っていますか?」という疑問がわくわけです。
支払ったことにして本当は自分が使っていないかという不正を疑われます。
外注費の支払について不審に思った調査官は相手先に連絡をして外注費を本当に受け取っているかを確認したりします。
いきなり連絡がきた相手先はびっくりしますよね。
ひょっとしたらその相手先との間で今後の関係にヒビが入ってしまう可能性も考えられます。
一方で、外注費を受け取った取引先は本来売上として計上しないといけないわけですが、もし無申告だったとしたらさらに問題が広がってしまいます。
外注費の支払いは一人親方本人だけの問題にとどまらず外注先などに問題が飛び火する可能性が高いので慎重に経理すべきです。
それこそ外注費を支払った証拠を残しておくこと。
領収書だけでなくどんな仕事をしてもらったかなどメモをしておくといいでしょう。
まとめ
一人親方の税務調査について書いてみました。
インボイス制度の導入により一人親方に仕事を依頼しづらくなったという話もありますね。
登録事業者じゃないから取引しないって。
ただ一方で、インボイス登録をしているから事業者である=支払っても給与ではなく外注費であると判断する、という見方もあるようです。
もちろん実質的に判断しますのでそれだけで給与か外注費かという判断は解決されませんが、以前より騒がれなくなりそうな気がしますね。
では。