国から支払われる年金には、老齢・障害・遺族と大きく3つあります。
年金が支払われる際、額面がそのまま振り込まれるのではなく税金や保険料が天引きされてきます。
今回は、年金から天引きされる税金や保険料をまとめてみたいと思います。
【事務所お知らせ】年金から天引きされる税金
年金から天引きされる税金として以下のものがあります。
所得税
2月支払から12月支払までに支払われる年金額が、
- 65歳以上なら158万円を超える場合
- 65歳未満なら108万円を超える場合
にかかります。
この場合、毎年10月頃になると「扶養親族等申告書」が送付されてきます。
申告書を提出した場合には各種控除後の金額×5.105%が天引き、提出しなかった場合には、最低限の基礎控除後の金額×5.105%が天引きされます。
なお、障害年金や遺族年金に所得税はかかりません。
住民税
その年4月1日現在で年金を受け取っている65歳以上の方で、年間の受取額が18万円以上であれば年金から天引きされます。
基本的には、所得割(課税額×10%)+均等割(標準5,000円)で住民税が計算され天引きされます。
ただし、一定の所得金額以下であれば非課税となる場合があります。
なお、障害年金や遺族年金に住民税はかかりません。
年金から天引きされる保険料
次に年金から天引きされる保険料です。
税金と違うのは、
ということです。
では、見ていきましょう。
介護保険料
老齢・障害・遺族の年金を受け取っている65歳以上の方で、年間の受取額が18万円以上であれば年金から天引きされます。
前年の所得金額などに応じて金額が決まります。
65歳以上の基準月額は平均6,014円となっているようです。
国民健康保険料(税)
お住まいの地域により国民健康保険税というところもありますが、保険料の一種です。
老齢・障害・遺族の年金を受け取っている65歳以上75歳未満の方で、年間の受取額が18万円以上であれば、世帯主の年金から天引きされます。
65歳以降の国民健康保険料は、所得割+一人当たりの均等額とされています。
後期高齢者医療保険料
老齢・障害・遺族の年金を受け取っている75歳以上の方で、年間の受取額が18万円以上であれば、年金から天引きされます。
保険料は、所得割額+所得割額でひとりひとりが保険料を支払うことになります。
お住まいの場所により税額・保険料が変わる
所得税は国が決めていますので税額は全国同じです。
一方で住民税は、所得割については所得に基づいて計算をしますが、均等割はお住まいの場所により異なります。
また、介護保険料・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料もお住まいの場所により異なっています。
つまり、お住まいの市区町村役場に行かないと正しく計算ができないのです。
年金相談で税額や保険料がいくらになるか計算してほしいと言われることがありますが、その場では回答できません。
目安を教えてほしいと言われても難しいと思います。
私はお答えせずにお住まいの市区町村役場をご案内しています。
計算方法ひとつとっても自治体により異なります。
所得が変われば…
ここまで年金から天引きされるものを書いてきましたけど、年金以外にもし収入があれば当然所得が増えます。
税金や保険料のうち「所得金額」とか「所得割」とあるものは所得というものをベースに計算をするということを意味しています。
つまり、所得が増えたら税金・保険料は増える、という風に考えておかれるといいかと思います。
まとめ
年金証書や年金決定通知書を見て、額面通りに振り込まれていないと年金相談にお越しになるお客様もいます。
年金から天引きされるものがあることをご認識いただきたくて今回書いてみました。
詳細な計算方法は税務署や市区町村役場に聞いていただくことになりますが、天引きされるものがあるんだというイメージを持っておかれるといいかと思います。
では。