老齢年金は、令和5年分について男性64歳・女性62歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。
支給開始年齢が徐々に65歳へと移行中ですが、高齢になって働くことが困難な障害者には年金額の特例が設けられています。
今日はその年金額の特例である障害者特例について書いてみたいと思います。
【事務所お知らせ】障害者特例とは
障害者特例とは、障害等級3級相当以上の障害があり、厚生年金を脱退(退職しているなど)している方が受けることができます。
厚生年金を脱退していることが要件ですので、退職のほかお勤めしていても厚生年金に加入していないのであれば特例を受けられます。
特例に該当しますと、報酬比例部分の支給開始年齢から定額部分が支給されます。
特別支給の老齢厚生年金には報酬比例部分しか出ていません。
定額部分とは、65歳から老齢基礎年金として受け取れる部分の金額とほぼ同じです。
もし女性62歳の方で障害者特例に該当したら、65歳までの3年間老齢基礎年金を早めにもらい始めることができます。
障害等級3級以上の人とは、年金でいう障害の程度という意味です。
3級の障害年金を受け取っていない人であったとしても、障害の程度が3級相当程度であれば定額部分の年金をもらうことができます。
この場合、障害者特例請求書に医師の診断書(年金事務所にある専用の診断書)をつけて手続きを行います。
女性62歳の方がすでに3級の障害厚生年金を受給中で、今回老齢年金を請求する場合は、障害厚生年金か障害者特例による老齢厚生年金か有利なほうを選択して受け取ります。
年金請求が遅れた場合の定額部分
女性62歳の方が、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の請求を6か月遅れたとします。
この場合でも報酬比例部分は62歳の時までさかのぼってもらうことができます。
女性がもし3級以上の障害年金を受け取っていたら障害者特例による定額部分もさかのぼってもらうことができます。
しかし、3級以上の障害の状態であったとしても障害年金を受け取っていないのであれば、定額部分は手続きをした翌月分からの支給になります。
つまり、手続きが遅れた分損をしてしまいます。
案内ミスをしてしまいます
では実際の年金相談窓口ではどう対応しているのでしょうか?
この障害者特例のご案内がもれてしまうことがよくあります…。
報酬比例部分の支給開始年齢になりますと年金請求書の提出や書き方などでご来訪いただく際にお話をさせていただきます。
その際、窓口にお越しいただいているお客様の様子を見て障害をお持ちかも?と判断するしかないというのが現状です。
もちろん、車いすでお越しいただいていたり杖をついておられるなど外見から判断できるようなことがあればお声掛けをさせていただいています。
障害年金を受け取っていない場合でも障害の程度が3級以上であれば障害者特例で定額部分が支給されると。
しかし、もし精神疾患をお持ちだった場合には外見からはなかなか判断できない可能性が高いですよね。
そうなると案内がもれてしまうこともありえます。
一応、年金請求書を受け付けた後で障害者特例の請求もれがないかどうか確認をすることになっています。
具体的には、障害年金を受け取っていないか窓口の場合は障害の有無を聞き取ることになっています。
しかし、お客様ご本人に「障害がありますか?」なんて聞くのって抵抗があったりするんですよね。
もしかしたらお客様自身障害者であることを隠したい場合だってあるかもしれません。
実際、車いすで年金の請求にお越しの女性の方がいて自分で車も乗れるし生活もできていると。
しかし、車いすであるということで障害者特例の案内はしないといけなかったのですが案内がもれてしまったのです。
結局、帰り間際になってその様子に気づいた先輩社労士に対応していただくことになってしまいました。
その際は診断書をお渡しし医師に書いてもらって、もし障害者特例を請求したいという意思があるのならまたお越しください、と案内しました。
先輩社労士にお話を伺うと、窓口では外見からみて判断するしかないのかも、とおっしゃっておられました。
まとめ
今回は、老齢年金における年金額の特例である障害者特例について書いてみました。
実際の窓口対応をして思うのは、説明をさせていただいたあとはご本人がどう判断するかだということです。
医師に書いてもらう診断書はお金がかかりますし、もし男性64歳の方なら65歳までの1年分の老齢基礎年金のために特例の請求をするのが手間だという方もおられます。
しかし、まったく案内しないのはダメなのですが、障害者ですか?となかなか窓口では聞きにくいため難しいな~と思うことはあります。
では。