扶養控除の見直しにより指摘されるものの一つに「重複控除」があります。
例えば、子どもAと子どもBが同時に母を扶養親族にしていた場合には、AかBのどちらか一方しか扶養控除を受けることができません。
このような場合いったいどのように対応をすればいいのでしょうか?
また、この場合なら大丈夫という例も挙げてみたいと思いますのでお付き合いください。
【事務所お知らせ】重複しない限りはOK
例えば、同じ世帯に兄弟ABがいて、Aがもともと父と母を扶養親族にしていたとします。
兄弟のどちらかの扶養親族になるかは重複しない限りどちらでもよいことになっています。
もしAが父と母、Bが母を扶養親族にしていたら、母はAとBで重複してしまっていますのでどちらか一方を選択することになります。
扶養控除等申告書の書き方
Aが父と母ともに扶養親族にしていましたが、選択によりAは父だけを扶養親族にし、Bは母を扶養親族にすることにしました。
この場合の扶養控除等申告書は以下の通り記入をするといいでしょう。
まずAからです。
- 控除対象扶養親族のうち母の部分を削除し、「異動月日及び事由」欄に「〇月×日Bの扶養」などと簡単に記入しておく
- D「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」欄に母の内容を記入し、「控除を受ける他の所得者」欄にBの名前などを記入(異動月日や事由は簡単に記入)
普段、D欄は記入しないことが多いのですが今回のように扶養親族を移し替える際に使います。
では、次にBの扶養控除等申告書です。
今回記入するのは、D「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」欄に父の内容と、「控除を受ける他の所得者」にはAの内容を記入します(異動月日と事由は簡単に)。
この結果、Aの勤務先はAの再年末調整を行うことでAから追加で所得税を納めてもらうことになります。
重複しなければ誰の扶養親族としてもOK
では、こんな場合はどうでしょうか?
同居かつ同じ勤務先であるAと父がおり、Aには子どもが3人います。
今年の扶養控除等申告書を見て、Aの子ども3人のうち、
- Aは子ども2人を扶養親族
- 父は子ども1人を扶養親族
としている場合です。
この場合も、同一人を重複して扶養親族としない限りAでも父でもどちらの扶養親族になってもOKです。
図のように、子1と子2はAの扶養親族、子3は父の扶養親族にしていたら重複していることにはなりませんのでOKです。
まとめ
扶養控除の見直しのうち、重複して扶養控除を受けている場合も出くわします。
しかし重複控除がそもそもよく分からないという質問をお受けしていました。
所得が超えているだったら分かるんですけど、重複して扶養控除を受けているってどういうことなのかと。
この場合は、扶養控除等申告書を確認したり源泉徴収票を確認すると誰を扶養にしているのかが分かります。
これまで扶養控除の見直しの記事を書いてきたのに重複控除についてはあまり説明してなかったなと思ったので解説してみました。
では。