先日、ふと国税専門官採用試験の試験案内が目に留まりました。
私は23歳でこの試験を受験して24歳で採用になりました。
もうかれこれ20年近く前になります。
【事務所お知らせ】国税専門官採用試験は今どうなっている?
国税専門官採用試験の案内を確認してみます。
今ちょうど申込期間中なんですね(3月25日まで)。
2023年度の試験から「国税専門A」と「国税専門B」の二つの区分になっており、国税専門Aはこれまでの試験・国税専門Bは理工・デジタル系向けです。
2024年度の採用予定人数はAが1,000人、Bが100人となっています(以下、Aに絞って書いてみますね)
まず、直近2年間の試験実施結果を見てみましょう。
この表を見て気づいてほしいのは、
- 1次試験受験者数/申込者数=受験率約70%~75%でそもそも受験していない人が多い
- 1次試験合格率(1次試験合格者/1次試験受験者数)は57%・65%と高め
- 最終合格率(最終合格者/2次試験受験者)は約64%→1/3しか不合格にならない
- 最終合格者が3000人~4000人もいるのに採用は1,000人
→辞退する合格者が多い
→それを見越して毎年約3倍以上もの人数を合格させる
実は、公務員試験の中でもかなり不人気の部類に入っています。
公務員人気が悪化していること(ブラックな勤務)に加えて、税金を扱う仕事であり専門職ゆえの大変さを感じること、また試験科目が偏っていることも影響しています。
試験科目が独特
国税専門官採用試験の試験科目は以下のとおりです。
ほかの職種の試験と共通している部分もありますけど、注目するのは1次試験の「会計学と商法」・「専門記述」です。
会計学の配点が高いので対策をしておけば有利ですがなにせほかの試験で会計学を課すところが多くありません。
また、会計学の試験問題を見ると簿記の経験があったとしても意外と難しいと思います。
ただ公認会計士や税理士・日商簿記検定1級受験生だった方は点数を稼げる科目ですし、専門記述に会計学があるためその知識をフルに生かすことができます。
商法は地方公務員試験でも出題されることもあるので勉強される方もおられますが、内容は難しめです。
まったく捨ててしまうのはもったいないですので過去問対策は大事かなと。
あとは、筆記試験よりも2次試験の面接にウエイトがある気がしますね。
お客様対応が求められますので試験官も態度や受け答えをきちんと見ています。
国税専門官をあえて目指すメリット
税務職員を中途で退職しましたので不満がなかったわけではありません。
ただ国税専門官試験に合格したからこそ今税理士としての仕事ができています。
さすがに評価を下げてばかりではなく目指すメリットも書いてみますね。
専門職のため仕事にまい進できる
研修が充実していることと、税務を勉強する機会がいくらでもあります。
それは実務でも同じで、税務調査に行けば座学で学んだことを実践に落とし込むことができます。
相談業務も同じですね。
その道のスペシャリストとして国際分野・資産税分野・査察(マルサ)・税務調査で活躍される方はたくさんいらっしゃいます。
しんどいときは本当にしんどいですけど、実戦で身につけるものはやっぱり忘れにくいですし経験として残ります。
逃げ道を作れる
もし採用後自分に合わない仕事が回ってきたときはすぐに諦め退職を考えずいったん立ち止まりましょう。
正直働きながらでも勉強できる時間はたくさんあります。
どれだけ忙しい部署でも土日祝日は休みですし有給休暇も取れます。
仕事がしんどいなと思ったら別の方向に目をむけてみるといいでしょうね。
例えばストレス解消のために休暇をフル活用して旅行をするでもよし、最悪退職を考えて行動を開始するでもいいでしょう。
税務職員として最短で勤続23年たつと税理士資格が付与されますし、勤続10年で税理士試験の税法科目がすべて免除になります。
勤務時間外で税理士試験の勉強をすると仕事に直結するうえにもし試験に落ちても免除になる年数まで勤め上げれば税理士になれる可能性があります。
将来の人生設計が狂うことってあると思うんです。
せっかく公務員になって将来安泰だと思っていたのにって。
しかし、将来税理士資格がもらえるのなら逃げ道にしてもいいわけです。
公務員にしがみつかなくてもいいというのが最大のメリットだと考えています。
まとめ
国税専門官試験は敬遠されている印象があります。
私が受験した時よりもさらに人材が足りないのかもしれません。
このままでいいのかどうか。
組織として変わらなくていいのか。
退職をした今受験案内を見ながらふと考えてしまいました。
では。