一人親方は税務調査に入られる確率がほかの個人事業主よりも比較的高いとされています。
今回から数回にわたって、一人親方の税務調査におけるポイントについて書いてみたいと思います。
1回目は売上についてです。
【事務所お知らせ】一人親方の売上の特徴
今回イメージがわきやすいように大工で考えてみたいと思います。
自宅を建築してほしいという依頼が来た場合には、一人親方である本人のほか建築のある部分では自分よりも優れた大工に外注を出すこともあるでしょう。
建築を始めるにあたっては材料も一人親方側で持つとして、通常建築完了まで時間がかかるものです。
つまり、建築開始当初は材料費や外注費などの経費が出ていく一方です。
その後、建築が完了して請求書を先方に渡して売上の入金を待つという流れです。
大量の商品を仕入れて販売するスーパーとは異なり、売上が頻繁に計上されるわけではありません。
売上として計上するのは「建築が完了した時」が原則ですけど、一般的に請求書を先方に渡すときにタイムラグがあまりなければ請求した日に売上を計上します。
請求日=売上となることで売上を集計するときにわかりやすくなります。
間違えやすいポイント
では、売上について間違えやすいポイントを書いてみたいと思います。
請求額と入金額があっていない
まず、税務調査で売上を確認する際には、請求書と通帳の両方を確認されます。
先方に100万円と請求しきちんと100万円が入金されてきているかどうかが確認されます。
もちろん振込手数料が相殺されている場合もありますので、請求額と振込額が多少違っても問題にはなりません。
現金の売上が入っていない
現金で受け取った売上を計上しないケースがあります。
手元にある領収書や請求書から売上が漏れていないかが確認されます。
現金で受け取ったけど領収書の控えが手元にない場合にはお金の流れから売上がもれていることがわかってしまうことがあります。
例えば、現金が手元に残っている場合にはどこからその現金が来たのかが確認されることになります。
相殺後の金額を売上にしている
請求書を見ると売上から材料費などが差し引かれて入金されていることがあります。
100万円を請求したとしても材料代として10万円かかったので差引90万円が通帳に入金されているケースですね。
この場合、売上として計上するのは90万円ではなく100万円となります。
相殺前の金額が売上の金額となりますので注意が必要です。
差し引かれた材料代10万円については、経費になります。
別口座に入金された売上を入れていない
売上の入金先を分けているケースです。
例えば、A銀行とB銀行に売上の入金を分けているけど、A銀行の売上しか計上していないとB銀行の売上がもれていることになります。
調査を進めていく途中で売上の入金を家族名義の口座に入れているとか、生活費の確認のために生活費の口座を見られることで発覚することもあります。
相殺後の金額を売上にしていると消費税の申告もれも
この中でも気を付けたいのは、相殺後の金額を売上としているケースです。
先ほどの例で言いますと、売上100万円で材料代10万円差引90万円が入金されてきており、売上を90万円で計上していたとします。
本来は売上100万円とすべきなのですが、もし売上が1,000万円を超えていますと消費税を申告納付しなければならない「課税事業者」となります。
2年前の売上が1,000万円を超えている場合には、消費税を納めなければならない事業者になってしまいます。
つまり、相殺後の売上を1年間集計した結果900万円だった場合、ひょっとしたら売上を相殺前の金額で計上し直したら1,000万円を超えてしまうことも考えられるわけです。
そうなると、消費税の申告と納付が必要となってしまいます。
まとめ
今回は、まず一人親方の税務調査でポイントとなる売上について書いてみました。
売上の計上時期で指摘される「期ずれ」については、外注費など経費にも影響を与えますので次回にまとめて書きたいと思います。
では。