一人親方の税務調査ポイントの7回目。
今回は雑収入について書いてみます。
雑収入は確認不足から計上がもれてしまうことと消費税で注意すべきところがあります。
また、補助金を得て車両などを買った場合の取り扱いが別途ありますので見ていきます。
【事務所お知らせ】雑収入と雑所得
まず、似たような言葉から整理をしてみます。
本業に付随する収入、と一般的に言われたりします。
- 売上高:本業の売上
- 雑収入:本業に付随する収入
例としては、駐車場賃貸収入、スクラップの売却代金や自動販売機の設置手数料収入、代理店手数料収入、補助金や助成金の収入などがあります。
間違えやすいのは、補助金や助成金を受け取ったにもかかわらず収入に計上していないケースです。
基本的な考え方として、「何かもらったら収入に計上しないといけない」と押さえておくとわかりやすくなります。
作業場に設置していた自動販売機の設置手数料の雑収入計上もれを税務調査で指摘されるケースはよく見聞きします。
一時期のコロナ関係の補助金・助成金ブームで収入を得ていた方が多かったように思いますが、その収入計上もれを指摘されるケースが増えてくるものと思われます。
一方で、雑所得とは、10区分ある所得区分のひとつです。
一人親方の本業は事業所得として確定申告を行いますけど、雑所得はほかの所得に当てはまらないものを寄せ集めたものです。
雑収入と雑所得のイメージはこんな感じです。
雑所得は、国民年金や厚生年金の公的年金収入があります。
また、本業がサラリーマンだけど副業をしている場合のこの副業は原則として雑所得となります。
雑収入に消費税が含まれているかどうか
雑収入の計上がそもそももれている場合のほか、気を付けたいのは消費税です。
売上高に消費税が含まれていると「消費税の確定申告が必要だな」とわかるのですが、雑収入は果たして消費税が含まれているのかどうか。
このうち、補助金や助成金による収入は消費税が含まれていませんので、消費税の申告は不要です。
一方で、駐車場賃貸収入、スクラップの売却代金や自動販売機の設置手数料収入、代理店手数料収入は消費税が含まれていますので消費税の確定申告に含めます。
と考えていただければイメージしやすいかと思います。
補助金や助成金はお金をもらっていますが何か作業をした結果もらえたものではありません(補助金をもらうための書類申請は作業ではないですね)。
この補助金や助成金の収入を消費税に含めてしまっているケースがありますのでその場合は更正の請求をして還付するという手続きが必要です。
補助金をもらって車両や機械を買った場合
一人親方が、仕事用車両や機械を買うために国や市役所に申請をして補助金や給付金を受け取ることがあります。
補助金や給付金を使ってその仕事用車両や機械を買った場合には、補助金や給付金は収入に計上しなくてもいいことになっています。
ただし、この場合、補助金や給付金をその車両や機械に使うという目的以外に使わないことと、確定申告書に一定の記載(明細書の添付)が必要になります。
また、この取扱いを受けた場合、実際に資産の取得のために要した金額から収入に計上されなかった補助金等を差し引き、その金額をもとに減価償却費を計算します。
例えば、ある一人親方が役所にダンプを買うための補助金を申請しその申請が通ったことからダンプを購入しました。
ダンプ購入費は400万円、補助金は200万円だった場合、
本来は、以下のような経理を行います。
- 車両(ダンプ)400万円をもとに減価償却費の計算を行う
- 補助金200万円:事業所得の雑収入に計上
しかし、今回の取り扱いにより、
- 車両(ダンプ)400万円-200万円(補助金)=200万円をもとに減価償却費の計算を行う
- 補助金200万円:事業所得の雑収入に計上しない
となります。
ですので、長い目で見れば一緒なんですけど短期間で見れば雑収入に計上しない分収入が減ります。
一方で、減価償却費が補助金の収入分少なくなりますので小さくなります。
注意点は、補助金収入を差し引くのを忘れているケースですが、減価償却費の計算も違ってきてしまいますので調査で指摘されるかは微妙だと思います。
まとめ
一人親方で雑収入が調査のポイントになるケースはそれほど多くないかと思われます。
ただし、補助金を受け取っているときには問題となることもありますし、自動販売機収入などは事前に情報を得ているため調査官に勝ち目があります。
取り扱いを知っているか知らないかで判断できてしまうのが雑収入ですので気を付けたいところです。
では。