6月1日より源泉徴収した所得税から定額減税分を差し引く事務が始まっています。
もし定額減税をし忘れていた場合や、扶養人数が間違っていて定額減税額が変わる場合にはすでに税務署に納めている源泉所得税を還付してもらうことができます。
今日はその手続きについて書いてみたいと思います。
源泉所得税の誤納額還付請求書
6月1日以降の定額減税を差し引くのを今日8/21まで忘れていたとします。
6月分の源泉所得税は翌月7月10日、7月分の源泉所得税は翌月8月12日までに税務署に納付をすることになります。
この際、定額減税を差し引くのを忘れていた場合や扶養人数を誤ってカウントして定額減税額が少なかった場合には納めすぎていることになります。
そのため、「源泉所得税の誤納額還付請求書」という書類を税務署に提出することで還付を受けることができます。
誤納という言葉は、「誤って納めてしまった」という意味です。
このほか、「源泉所得税の誤納額充当届出書」という書類もありますが、こちらは後で納める源泉所得税の納付額に充てるものです。
今回の定額減税は給与や賞与の源泉所得税から差し引くので、この充当届出書を提出しても大丈夫です。
ちなみに、このあと記載方法と添付書類を説明しますが、一般的に誤納額還付請求書を提出するのでこちらで説明します。
【事務所お知らせ】記載方法と添付書類
誤納額還付請求書の記載ポイントは以下の部分です。
実際、具体的な金額を使って記載していきます。
・給与毎月10万円(社会保険加入なし)、源泉所得税720円(扶養なし)
・6月分(6/25支給)と7月分(7/25支給)の給与の源泉所得税はそれぞれ翌月10日までに納付してしまっていますが、この際定額減税を差し引くのを忘れてしまいました。
本来定額減税額は扶養なしで本人だけの場合は「3万円」を所得税から控除することができますので、6月分720円と7月分720円の合計1,440円の還付を受けることができます。
まず、必要な書類は「令和6年分給与所得者の源泉徴収簿」です。
これは間違えたものを提出するといいでしょう。
次に、「令和6年分の扶養控除等申告書」です。
これは定額減税額の計算をするもととなる資料です。
もし扶養人数が間違えていた場合には、「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」が必要になることもあります。
さらに、経理上の確認のため「帳簿書類の写し」が必要です。
預り金勘定の写しがいいですけど、もしまだ総勘定元帳が完成していないなら仕訳伝票でも大丈夫です。
以下は、預り金勘定です。
あくまで6月分と7月分の給与から源泉徴収される所得税は0円ですが、税務署に実際納付しているのは720円なので残高がマイナス表示になるはずです。
還付金が入金されたときに、貸方に記入をすることで残高を0円にします。
日付 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 残高 |
6/25 | 6月分給与 | 0 | 0 | |
7/10 | ○○税務署 | 720 | -720 | |
7/25 | 7月分給与 | 0 | -720 | |
8/10 | ○○税務署 | 720 | -1,440 |
また、場合によっては実際納付をした「納付書の写し」が必要になる場合もあります。
たまに納付した事績が確認できないこともあるからです。
添付書類がそろったら請求書の記載です。
1月分で1枚が原則ですので今回の場合は2枚作成します。もしくは、合計額で請求をする場合「別紙のとおり」としてExcelなどで集計した表を添付してもかまいません。
令和6年6月分を示していますが、令和6年7月分は年月別を「令和6年7月」に変えるだけでいいです。金額も同じですので。
- 還付を受けようとする金額:6月分の720円
- 誤納を生じた理由:「定額減税を引き忘れたため」など定額減税をし忘れた理由を簡潔に
- 所得の種類:給与
- 徴収高計算書の記載したものA:納付書の給与欄に記載したもの
- 正当計算によるもの:定額減税があるため税額0円
- 差引:720円
- 納付年月日:R6.7.10 納付先税務署:納めた税務署名
- 添付書類:預り金元帳、扶養控除等申告書、源泉徴収簿など
上記のように記載し添付書類を準備して税務署に提出をします。
まとめ
今回は、定額減税をし忘れた場合の源泉所得税の誤納額還付請求をメインに説明してみました。
「年末調整で一緒にやったほうがいいのでは?」と思ったりします。正直なところ。
でも、納めすぎなのには変わりないのでこのような形で税務署より還付を請求することができるということは知っておいていいかもしれませんね。
では。