一人親方など個人事業主の方であれば事業用の車両や機械を新品ではなく中古で購入される方も多いのではないでしょうか。
経理をする際には買った時の全額を経費にするのではなく減価償却という手続きにより毎年経費にしていくことになります。
新品と中古で減価償却費の計算が異なりますので確認をしてみましょう。
中古資産の購入例は多い
最近建設用車両や機械(ダンプやバックホウ)など海外の製造会社での整備不良や資材高騰により新品は高くなっていたり届くのが遅くなったりしています。
現場には工期が決められていますから新品を待っている時間はないこともあります。
また、ダンプやバックホウは工事で使うものですので傷が入ったり塗装がはがれたりして新品を買うともったいなく感じます。
市場に出回っていて比較的安く入手しやすい中古を購入されるケースが多いのかなと思います。
中古資産には新品資産とは異なり1年あたりの減価償却費を多く計上できるというメリットがあります。
減価償却費の計算
減価償却費とは、車両や機械を買った場合に全額をその年の経費にせずに一定期間にわたって経費にしていく計算方法です。
買った時の値段(取得価額)と車両や機械ごとに法律で決められた耐用年数(何年もつか)と償却率をもとに計算します。
計算方法には大きく2種類あり、毎年一定額を減価償却していくという「定額法」と、一定率を減価償却していく「定率法」があります。
このうち、一人親方などの個人事業主は定額法が法律で定められた計算方法となっていますが届出を出すことにより定率法で計算することも認められています。
定率法は最初のほうの年度は経費を多く計上できますが、後半は経費にできる金額が少なくなります。
耐用年数が異なる
ここで新品のものと中古のものでポイントになるのが耐用年数です。
耐用年数とは、その資産の機能が耐えられるのかを年数で決めたものです。
耐用年数は事業主ごとに決めることができますけど、法律で決められた年数しか経費にできないことがわかっていますので法律にしたがった耐用年数にします。
定額法を使った計算をする場合耐用年数にわたって一定額を経費にしていくことになりますので、
- 耐用年数が長い資産:毎年経費にできる金額が少ない
- 耐用年数が短い資産:毎年経費にできる金額が大きい
となるわけです。
さらに、中古資産を買いますと、新品で買った時よりすでに耐用年数が過ぎている資産を買うことになりますのでその分故障も頻発します。
それだけ資産の機能が低下するのが早いわけです。
つまり、新品で買ったときよりも耐用年数は短くなります。
例えば、ダンプを買ったとします。
ダンプの耐用年数は新車登録から4年とされています。
新車でダンプを買った場合の耐用年数は4年ですが、中古でダンプを買った場合には耐用年数の計算方法が異なります。
新車登録から4年以内か4年を超えているかで考えてみます。
新車登録から4年以内の中古資産を買った場合
新車登録から4年以内の中古ダンプを買った場合には、まだ4年という耐用年数が残っているということです。
その時は、
で計算を行います。
法定耐用年数は法律で定められた耐用年数ですのでここでは4年です。
法定耐用年数から経過年数を差し引くとまだ経過していない年数が残ります。
経過した年数分は損傷なども考慮して2割を上乗せします。残り8割分を耐用年数に反映させないため耐用年数が小さくなるわけです。
例えば、新車登録から1年が経過している中古ダンプを買った場合には、
と計算します。
計算結果の年未満の端数は切り捨てますので、耐用年数は3年となります。
新車登録から4年を超えた中古資産を買った場合
耐用年数が2年(24カ月)を下回る場合は、購入した中古ダンプが新車登録から何年経過していたとしても、2年が適用されます。
新車登録から4年以上経過した中古ダンプは
で計算します。
つまり、48か月×20%=9.6か月です。
この場合、2年(24カ月)を下回るため、耐用年数は2年になるということです。
まとめ
今回は中古資産を買った場合の減価償却費の計算について中古ダンプを例に取り上げてみました。
実際、新車登録から4年を超えたものを買うケースも多いかと思います。
その場合は2年で減価償却をするので買った金額を2年で経費にできることになります。
中古資産を買うメリットはこういう耐用年数の計算に現れてきます。
では。