年収の壁~従業員本人と子ども目線で考えてみる

先日のブログでは、年収の壁のそもそも年収とは何かについて税金と社会保険との違いを含めて書いてみました。

今回は、年収の壁について家族それぞれの目線で考えてみたいと思います。

前提条件

以下のような家族を想定して書いてみます。

  • 従業員(本人):会社員
  • 妻:パート勤務
  • 子ども:大学生(アルバイトしている)

今回は、従業員本人と子どもそれぞれの目線で年収の壁を考えてみます。

年収の壁~従業員本人目線

従業員本人が年収の壁を気にするというよりは、妻や子どもがいることで受ける控除や恩恵が受けられるかどうかです。

従業員本人と子どもの関係で行くと、税金面は扶養控除(特定扶養親族)、社会保険は扶養に入れるかどうかです。

  • 税金の年収の壁:年収103万円⇒扶養控除(特定扶養親族)が受けられる
  • 社会保険の年収の壁:年収130万円⇒扶養に入れることで子どもの保険料を支払う必要がない
なお、年収106万円という社会保険の年収の壁がありますが、学生でないことが前提になっていますので子どもの場合にはあまり気にしなくてもいいです。

つまり、子どもがアルバイトをして得た給与収入が103万円を越えていたら扶養控除(特定扶養親族)が受けられません。

なので、親が子どもに年収103万円以下でアルバイトをしてねとお願いするのはこの条件があるからですね。

年収の壁~子ども目線

次に子ども目線で年収の壁を考えてみます。

子どもは大学生でアルバイトをしていますのでその年収により税金や保険料を負担するのかどうかを考えていくことになります。

  • 税金面の年収の壁
    ①年収100万円:住民税を払わなければならない
    ②年収103万円:所得税を払わないといけない
    (子ども本人が勤労学生控除を受けることができる可能性あり)
  • 社会保険の年収の壁:年収130万円⇒国民健康保険を支払わないといけない

なお、国民年金については、20歳以降は免除しない限り全員支払わないといけません。大学生は第1号被保険者です。

2つの目線のポイント

結局、従業員本人と子どもとの関係で年収の壁を整理してみますと、

  • 従業員本人:税金や保険料を減らせるかどうか
  • 子ども:自分で税金や保険料を払わないといけないのかどうか

という2つの目線で考えるというのがポイントです。

どの目線にたった話なのかが整理できていないと混乱をしてしまうのではないかと考えています。

ニュースで報道されているのを見たりしますけど本当に整理されているのかなと疑問に思うことがあります。

妻目線の年収の壁は複雑

妻目線の年収の壁を今回取り上げない理由は、妻の年収の壁が税金面や社会保険を考えるうえで複雑でわかりづらいからです。

子どもは年収の壁を越えたら、親である従業員本人の恩恵がなくなるとともに、子どもも税金や保険料の負担が増えるわかりやすい関係です。

一方で、妻の年収の壁はいくつもありますけど、それを超えたからと言って夫である従業員本人が恩恵がなくなるかというと一概に言えません。

例えば、配偶者控除が適用できなくても配偶者特別控除が受けられたりしますから。

そのため、妻の年収の壁は次回に取り上げる予定です。

まとめ

今回は、年収の壁について家族のうち従業員本人と子どもについてそれぞれの目線で見てきました。

報道されている内容をみて分からなくなった時には、どの目線の話をされているのかを整理してみるとわかりやすくなるかなと思います。

それがなかなかできていないのがニュースのコメンテーターの方なのかなと最近は感じていますね。

では。

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