11月末に「令和5事務年度(令和5年7月~令和6年6月)の個人事業主の所得税・消費税の税務調査の状況」が国税庁ホームページに公開されました。
税務調査対応をしている私にとってはこの情報は毎年チェックをしています。
今回の注目点について考えてみたいと思います。
税務調査の実施状況について
今回は、国税庁全体と大阪国税局が集計した情報をもとに書いてみたいと思います。
引用:国税庁ホームページ 令和5事務年度(令和5年7月~令和6年6月)の個人事業主の所得税・消費税の税務調査の状況 より
所得税の調査状況ですが、調査先を選ぶ際の選定作業にAIを活用していることがうかがえます。
効率的な調査を行った結果、申告漏れ所得や追徴税額の総額は過去最高を記録したとのことです。
このうち、実地調査と簡易な接触の違いは以下の通り説明がされています。
実地調査での特別・一般と着眼がありますが、重要度の順番に特別⇒一般⇒着眼というイメージでいいかなと。
簡易な接触は、あまり大きな誤りではない、・修正が簡単なものという意味合いでいいかなと思います。
所得税の調査状況の詳細です。
実地調査の件数が少し増えていますね。
消費税の調査状況ですが、追徴税額の総額は過去最高を記録と書いてありますね。
調査の状況の詳細については以下のようになっています。
注目したいのが簡易な接触の大幅な増加です(対前年比137.2%)。
令和5年10月からのインボイス制度導入により新たに課税事業者になった方の消費税申告もれが相次いだのかなと想定されます。
消費税の申告を忘れていたために、税務署がお尋ね文書を送付したり電話で対応をした結果大幅に増えたのではないかと思います。
このほか、トピックスとして重点的に取り組んだ内容が掲載されています。これは国全体で所得税や消費税の事務で取り組むべき問題を表しています。
力の入れ具合がわかるデータなので特に気を付けて対応したいものです。
今年は以下の6つが選ばれていました。
1 富裕層に対する調査
2 海外投資等を⾏っている個人に対する調査
3 インターネット取引を⾏っている個人に対する調査
4 無申告者に対する調査
5 消費税の還付申告者に対する調査
6 所得税の不正還付申告書の課税処理
このうち、1~4は毎年問題視されているところではあります。
しかし、5と6の還付申告者に対しての調査や不正還付申告者の対応については昨年同様今回も注目すべきところでしょう。
国税庁ホームページにも所得税の不正還付申告書については注意喚起されています。
大阪国税局も同じ傾向
今回大阪国税局の税務調査についても確認をしてみました。
- 所得税の調査状況は実地調査が少し増加
- 消費税の調査状況は簡易な接触が大幅に増加
- インターネット取引に関する調査が増加
ほぼほぼ同じ傾向であることが読み取れます。
【事務所お知らせ】事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位 10業種
この業種に入っているからと言って税務調査が来やすいというわけではありませんが、昨年と順位に変動がない業種は今後も狙われる傾向があります。
まずは国税庁版です。
前年からランクインしているものは特に注意したいですし、1位の経営コンサルタントは前年も1位ですから注目です。
飲食店(ホステス・ホストを含む)はコロナが明けてから調査が本格的になったというのはあるかもしれませんね。
コンテンツ配信は今後も無申告調査の対象になっていきそうな気がします。
そして、大阪局版。
ブリーダーは前年よりもランクを上げて1位になりました。全国でもランクインしているのでブリーダーは今後も注目業種なのかなと。
飲食店は多くランクインしていますね。
くず金・くず鉄卸売は全国でもランクインしていますね。
金やくず鉄の売却収入の除外がよく行われている業種ですね。大阪局では2位です。
内科医は全国と大阪ともランクインしていますね。これもコロナの影響で補助金や助成金の収入もれや除外が相次いだのでしょう。
収入が大幅に増えたのに所得が変わらないところに税務調査は来やすいのが一般的なので、業種を見ると景気の良し悪しが見えたりします。
まとめ
今回は私見も入れつつ令和5事務年度の所得税消費税の税務調査の情報を取り上げてみました。
参考になれば幸いです。
では。