税務署を退職し、家業の経理を手伝うことにしました。
家業は、建設会社。
経理も建設業特有の勘定科目がありますし、工事原価の集計作業も含まれています。
学生時代に、両親がせっかく会計の勉強をしているのだからと「建設業経理士」の資格を勧めてくれました。
建設業経理士検定試験は、国土交通大臣の登録を受けた検定試験で、
中でも1級と2級合格者は、公共入札の入札可否の判断資料となる経営事項審査の評価対象とされています。
私は、2級から試験を受けまして、最終的に1級を取得しました。
そこで、今回はこの建設業経理検定について書きたいと思います。
試験情報・受験資格
試験は、年2回行われており、
上期は9月頃(1・2級)、下期は3月頃(1~4級)が通常です。
ただし、今回はコロナの影響により令和2年3月の試験は中止になったようです。
受験資格は、誰でも、希望の級を受験できます。
初めての受験であれば、2級から受けることをお勧めします。
(2級からでいい理由は後述します)
ただし、1級と他の級との同日受験はできませんので、2級と1級は同じ日には受けられません。注意です。
試験内容
- 2級 内容 建設業簿記・原価計算
- 1級 内容 建設業原価計算、財務諸表、財務分析
1級は原価計算・財務諸表・財務分析の3科目から成る科目合格制を取っていて、3科目全て合格すると1級取得となります。
1級は同日で複数科目受験できます。
1級科目合格の有効期限は、合格通知書の交付日から5年間です。できれば、間を空けずに複数科目勉強することをお勧めします。
詳しくは、(一財)建設業振興基金 建設業経理検定のホームページを確認してください。
受験にあたっての注意点
日商簿記検定を経験してから受験すべき
建設業経理検定という名前であるとおり、結局普段の簿記の知識がないと厳しいかと。
いきなりこの検定の勉強をしたら理解が進まないと思います。
まずはオーソドックスな日商簿記検定の2級や1級を取得してから、建設業経理検定に進むと楽だと思います。
実際、私は会計士の勉強をしつつ日商簿記検定1級を取得していましたので、建設業経理検定2級は3日くらいしか勉強していませんし、
1級も原価計算と財務諸表は2週間集中して1回で合格できました。
日商簿記検定の勉強をした経験があれば、建設業経理検定2級から受験しても全然大丈夫です。
- 日商簿記検定2級から建設業経理検定2級
- 日商簿記検定1級から建設業経理検定1級
という順番もOKです。
日商簿記検定1級は相当難しいので、日商簿記検定2級から建設業経理検定2級・1級を受験するのもありだと思います。
特に建設業経理で早急に評価点数を上げたいのであればこの方法を十分考えてもいいと思います。
ただ、建設業経理検定1級には財務分析という科目があります。
この科目、他の簿記検定試験などで1科目として出題されることがありません。
これは重点的に時間をかけて準備したほうがいいです。
1級同日3科目受験はやめておいたほうがいい
私の体験です。正直、一日中試験会場にいて集中力が続きません。
準備できたとしても相当疲れますし、まず3科目を十分に準備して受験することが不可能です。
原価計算や財務諸表はまだ日商簿記検定の延長なので準備できるかと思いますが、財務分析は一からの勉強となり時間がかかります。
私は、3科目同時受験しましたが、財務分析は捨てました。。
ほとんどできなかったです。
1回の試験で多くて2科目まででいいと思います。
できれば、財務分析は後回しでじっくり取り組むべきです。
今は年に2回試験がありますから準備もしやすいですよ。
(私の時は年に1回しかありませんでした)
受験に使った講座や対策
私は、会計士講座を大原で受講していましたので、そのまま大原の建設業経理士講座を受講しました。
前提として簿記の知識があったので、いきなり直前対策コースを申し込みました。
(ちなみに1級も「1級 個別申し込み」から各科目ごとの直前対策コースが申し込めます)
もちろん、一から全体をやるコースが一番安心ですけど。
大原の直前対策コースは、まとめテキストと答練がセットになっていました。
まとめテキストには確かポイント整理と問題(過去問)が入っていたので、これをひたすら繰り返していました。
「習うより慣れろ」、です。
ただし、この方法、1級の財務分析は本当につらかったです。
分析率の説明がなく暗記だけだったので、問題がひねられるとやばいなと思いましたね。
財務分析は講義を受けてもよかったかなと思います。
今はTACや他の予備校でも、建設業経理士講座は開講されていますので、いろいろ検討して決めた方がいいと思います。
ちなみにTACは建設業経理士講座はありますが、単科で申し込めるのは的中答練のみで、まとめ講義はついてこないようです。(本科生の講義だとまとめ講義が受講できるようですね)
私は資格を受けたいと思ったときにやっていることは、大原やTACなどの予備校に実際足を運んで、テキストの見本を見せてもらうことです。
パンフレットはネットで確認できますが、実際使っているテキストは実際手に取って、書き込みやすいか・見やすいか・使いやすいかをチェックします。
窓口で受付の方に言えば、見せてもらうことができます。
大原はたまたまテキストを見て、この1冊で十分だと思ったのもあって申し込みました。
ご自身で合う予備校の講座を利用するのが早く合格できますよ。
まとめ
建設業経理検定1級を取得したことで、今回家業を手伝うことになってすぐ役にたつとは思いませんでした。
今は1級および2級の合格者を対象に、建設業会計の維持向上を目的とした「登録建設業経理士制度」ができています。
今のところ、経営事項審査で登録の有無については関係ないようですが、一度登録してみてもいいのかなと思ったりしています。
では。
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