税務職員が税理士試験を受験するメリット・デメリット

毎年8月に行われる税理士試験。

私は税務職員になってから受験を開始しました。

8月は人事異動のある7月からまだ1か月しかたっていない時期で、まだ部署自体の仕事が固まっていない時期です。

その中でも税理士試験を受験したことで周りから様々な反応をいただきました。

今日は、税務職員が税理士試験を受験するメリット・デメリットについて書いてみます。

デメリット

まずデメリットから書いてみます。

なぜかというと、受験したことのメリットのほうが多かったからです。

それは後で書くことにします。

周りの職員から白い目で見られる 特に若手職員なら

7月の異動直後である8月の試験。

ちょうど事務が本格的に動き始めるときに、休暇を取って試験を受けにいくことになりますので、まず気まずいです。

周りの職員は「なんで試験なんか受けに行く余裕があるの?」という雰囲気を醸し出してきます。

特に若手職員が受けに行くとなるとさらに風当たりはきつくなります。

でも休暇を取るのは権利ですし、別に悪いことをしているわけではありません。

私はなんと1年目から休暇を取って受験しました。

ほかの同期は試験会場の監督をしていましたが、私は受験生ですから免除していただきました。

本来なら私も試験監督の立場で試験会場にいることになっていました。

なので私は配属が決まってすぐに上司などに試験を受けたい旨をずっと伝え続けていました。

もし試験直前になって受けたいと言っていたらきっと理解してもらえなかったでしょうね。

その後、受験するときはいつも異動直後に周りに受験することを伝えていました。

そうすると理解していただける上司も多かった印象です。

もし仕事で断られたとしても勉強は続けておいたほうがいいです。

次の人事異動で職員が入れ変わったら、その考えががらっと変わることもあるからです。

次の年に受験できることもありますので、勉強は続けておきましょう。

評価は下がるかもしれないけど気にしない

上司によりますが、試験の受験そのものに理解がない方もいらっしゃいます。

たとえその場では了解していたとしても、内心は納得していない方もいらっしゃいますし同じ部署の職員からも理解してもらえないこともあります。

もし何か言われても気にしないことです。自分は何も悪いことはしていませんし。

むしろ勉強をしているわけですので、その職員たちよりはるかに経験は積んでいます。

理解のある上司や先輩ですと、受験を応援してくれたりしますので。

受験の許可が出たら、勉強に集中しましょう。

メリット

では受験するメリットについて書いてみます。

これは私が思っていることと、同期から聞いた話を整理して書いてみますね。

税理士を取得するまでの年数が短くなる

税理士試験ですと5科目に合格する必要がありますが、税務職員は税理士試験を受験しなくても資格を取得することができます。

まったく試験を受験しない場合に、5科目すべて免除になるのは通常23年勤務する必要があります。

ただこれはあくまで通常で、勤務する部署によっては年数が2/3にカウントされるところもありますので一概に23年目で必ず免除になるわけではありません。

では23年も待たないと免除にならないのか、というとそういうわけではありません。

税理士試験の簿記論・財務諸表論の2科目に合格していると、通常10年勤務すれば税法科目が免除となり税理士を取得できます。

会計科目である2科目を勉強しておけば10年過ぎたら税理士になれる可能性が出てくるのです。

税理士試験を受験された経験のある方なら税法科目の試験からが大変だと思われているかもしれませんね。

会計科目である簿記論・財務諸表論は前哨戦のような位置づけでしょうか。

その2科目さえ合格しておけば、あとは勤務しながら10年待つだけです。

もちろん自分で税法科目を受験しつづけることもできます。

保険をかけておくことができるのは大きなメリットだと思います。

私は、税理士試験の簿記論・財務諸表論・法人税・消費税を受験した経験があります。

簿記論・財務諸表論は合格できましたので、10年たったときに税法科目の免除を申請することができました。

業務に関連する科目だと仕事でも役に立つ

もうひとつ大きなメリットとして、業務に関連する科目があることです。

税務署は国税を扱いますので、税理士試験の国税科目と重なる部分があります。

私は法人課税部門に所属していましたので、法人税・消費税・所得税(源泉所得税)が業務で使う税法となります。

また、法人税を理解するために簿記論・財務諸表論で勉強した知識を使うこともあります。

仕訳がイメージできないと仕事にならないのです。

ただ税法科目は合格までが難しいと言われています。

私は実際に合格には至りませんでしたが、勉強していたことで内容がを理解できることが多くなりました。

税務調査の場面では、税理士との会話も必要です。

税理士の言っていることが理解できないということも多々出てきます。

主張されていることを理解したうえで、どうやって判断していくかが重要になってきます。

その点、勉強したことがあればある時期に言っていることが分かってくることがあります。

税務調査前に税務申告書の内容を審査するときも、問題点は何かを判断するときの引き出しが多くなってきます。

税務調査に行ってもし問題点が何もない場合でも、「こう判断できないか」という新たな問題点を想定できることもあります。

あと、理論と実務の違いを明確にできるというメリットもありますね。

TACや大原で個別理論集が配布されますよね。

その中の届出書の理論では「一定の要件」「一定の場合」として省略されている言葉があったりします。

実はその省略されている内容が実は重要だったりすることもあります。

具体的な手続きが書かれているけど文章が長いため省略されているとか。。

ある同期は、税務署勤務を始めたときは簿記初心者でしたが、税理士試験を受験し続けて5科目合格をして立派な税理士になっています。

別の同期は、税法科目を免除にするのは嫌だという理由から税法科目を毎年受験し続けて合格し、税理士として独立しています。

仕事の幅が広がる そのまま残る・税理士・事業会社

私も含め退職した職員のうち、若ければ税理士として活動していくことが多いです。

もちろん試験を受けつつそのまま税務職員として勤務し続けることもできます。

一方で、税理士資格を活かして全く違う事業会社の経理として勤務される方もいらっしゃいます。

つまり、勉強することで仕事の選択の幅がかなり広がります。

今、公務員はとても大変な職場になってしまっています。

何かしら不満を持つこともあります。

部署異動したとたん人間関係が悪くなる。

仕事内容が嫌になってしまう。。

それを回避することも、資格の勉強をすることでできたりします。

私は人間関係の悪化からうつ病を発症した経験がありますし、仕事も年々楽しさを見いだせなくなりました。

退職してこうやって資格を活かして活動できる道があるのはよかったなと思っています。

もちろん今後もつらいことがあると思っていますが、自分が決めたことなので後悔はありません。

納得できる方向性に自分を向けられるってとてもいいなと思うのです。

まとめ

今回は、税務職員が税理士試験を受験するメリットとデメリットについて書いてみました。

私の場合はデメリットよりメリットのほうが多かったです。

試験を受けておいてよかったなと。

これって、普通の事業会社で働く会社員の方も当てはまるのではないかなと思います。

もし躊躇している方がいるなら、一度試験を受けてみる・受け続けてみることをおススメします。

そのためには事前にしっかり上司に了解は得ておきましょうね。

では。

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