コロナの影響が続き、税務調査も中止を余儀なくされている状態です。
では、税務署が新体制となる7月以降はどうなるのか。
私は、調査件数は減るけど「形を変え、確実に取っていく」方向になっていくと思っています。
調査件数は昨年よりは増えるけど例年より少ないと予想
昨年はコロナの影響で自粛期間等もありましたし、緊急事態宣言が初めて発令されましたから何もできない状況でした。
税務署でもテレワークが行われていたようですしね。
税務調査には、実地調査と簡易接触(机上調査)と呼ばれるものがあります。
- 実地調査:実際に事業所へお伺いして調査をする
- 机上調査:事業所へは行かず電話や文書で内容を確認する
昨年から「簡易接触」がすごく増えたようです。
お伺いできないけど税金はきちんと納めさせたい・実績を残したいということなのかもしれませんね。
その傾向はますます加速すると思っています。
これまでは、「手当たり次第に調査に行け!」という方針でした。
「とにかく件数をこなせ」、という感じ。
ひとり年間40件の調査案件をこなすというのが税務署の調査官でした。
次から次へと新規で着手していき、空き時間で調査のまとめと資料作成をこなしていました。
なので、これまでは調査に時間をかけることができなくなってきて、小手先だけの調査に終始せざるを得ず深い調査ができているとは思えない状況でした。
現場を取り仕切る統括官も事案を選ぶのに困っていたようです。
調査件数ばかり増やされても、調査に行けるような魅力的な調査事案がないと。
調査に行くからにはある程度の結果を求めたいところです。
正直数合わせに使われて、「本来調査に行かなくてもいいのでは?」という事業者まで調査に行っていました。
しかし、その傾向は今回コロナで一気に変わりました。
実地調査はかなり減るでしょう。
減ったけど調査に来るということは「確実に誤りがあると税務署側が考えている」ということです。
特に多額の税金を追徴できそう、不正がありそうと思われている事業者には徹底的に調査に来るでしょうね。
昨年は調査がほぼできていませんので、この7月からは調査件数自体は多少増えると思います。
でも例年に比べたら少ないかなと。
「確実に取れるところから取っていく」方向に切り替えていくと思われます。
調査に来る=厳しい・深い・時間のかかりそうなところの調査になるでしょう。
簡易接触がかなり増えてくる
実地調査の件数は減る一方で、簡易接触がかなり増えてくると予想します。
それほど誤りがなさそう・しっかり経理してそうだと判断されたところはスルーしていきそうです。
一方、申告書や決算書から見て明らかに誤りがあるけどそんなに大きな金額にならない・届出書が提出されていないなど、文書や電話で済みそうな案件が増えそうです。
実際かなり増えてきているようですし。
これまでだと明らかな誤りがあるのが分かっていても実地調査に行っていました。
「明らかに誤りがある=ほかにも誤りがある」、と判断していたためです。
しかしもっとほかにも調査すべき案件があるのです。
具体的に、無申告者、不正常習者など、徹底的に調査をしなければなりません。
だったら簡単に済みそうなものはわざわざ調査へ行く必要もないという方向になりそうです。
無申告者・ネット・海外取引・富裕層は容赦ない!
国税庁から発表される1年間の税務調査の傾向について、以前記事もしました。
ここでは、どこに重点を置いて調査をしているかという傾向が読み取れます。
例年、ここに挙げた4つは重点的に調査されていますし、今後もより確実に徹底して調査されていくでしょう。
どれもそれなりに調査に行けば多額の追加税金を徴収できますし、調査案件としてはとても魅力的なのです。
究極的には「実地調査に来るのはこれらだけ!」「あとは簡易接触でもいいんじゃないか」というくらいのレベルだと思っています。
それくらい厳しさを増してくると思います。
今まで調査に来ないから大丈夫だろうと思われている方もいるかもしれませんが、取引先の税務調査やタレコミなどからすでに情報を仕入れていることがあります。
もしそれが悪質なら重加算税という非常に重たい罰金が科せられてしまいます。
一方で、この入金って本当は申告しないといけないのかもわからないという、知らない状況のまま放っているという状況も考えられます。
そういう状況があるのなら、早めに税理士に相談してみましょう。
早めに申告できれば負担は少なくて済みます。
一番危ないのは、自分で勝手に判断してしまうこと。
専門家に判断を仰いだほうがいいと思います。
まとめ
今回は、今後の税務調査について私の予想を書いてみました。
この7月に人事異動があって、新年度の体制がスタートします。
そこから新たに税務調査が始まっていくわけです。
個人事業主やフリーランスの方なら、年明けの確定申告までに集中的に税務調査が行われるのが通常です。
法人も確定申告の時期は調査はしませんので、年内いっぱいである程度の調査件数をこなすことになります。
実地調査・簡易接触どちらにしてもいつかは必ず調査が来ます。
では。
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