「こんな調査先行きたくない!」私が考えるいい事業者とは?

税務調査をする際、調査官は事前に統括官から調査事案を渡されます。

目標は適正な申告をしているかを調査すること。

しかし、本音はたくさんの誤りを見つける・不正を見つけて多額の税金を徴収することにあります。

調査官としての業務成績にかかわるので、どうしても本音部分が強くなる傾向がありますが。。

いざ調査先へ行くと最初の雰囲気で「この調査先は手ごわいな」「この調査先はたくさん誤っていそう」というのが分かることがあります。

今日は私目線ではありますが、調査官から見た行きたくない調査先を挙げてみたいと思います。

裏を返せば、きちんとしている調査先=「いい事業者」であるということです。

書類管理がきちんとしている

調査を進めると、帳簿調査といって会計帳簿と請求書や領収書・契約書とを突き合わせて検証をしていくことになります。

ここで書類管理とは、会計帳簿や請求書・領収書・契約書その他会社に保管してある書類をいいます。

では、きちんとしているというのはどういうことか。

調査官としては、やはり確認するときには見やすく整理してほしいというのはあります。

  • 日付順になっている
  • 月ごとに整理されている
  • どこに何があるかすぐに取り出せる状態にある

あくまで理想ですけど、よくある調査先としては、書類が日付順になっていないところがあったりもしますし、そもそも書類整理がまったくできていないところも。

ただランダムに書類がとじられていることもありましたし、書類の管理場所があいまいで依頼してもすぐに出てこないこともよくありました。

「時間稼ぎの作戦かな?」と思ったりするのですが、調査官としてはイラっとするわけです。

調査官からすれば、書類の管理が雑である段階で「これは絶対に何か誤りがある」「不正をしている」と考えます。

書類がぐちゃぐちゃであるということは、日々の経理も雑でありきっと取引の漏れや管理不足があると感じてしまいます。

一方で、書類の管理をきちんとしている事業者ですと、調査時間の短縮にもつながりますので、正直注意点がひとつ減るというメリットがあります。

調査官が指摘した問題点に答えられる

調査官が指摘してくる問題点にすぐに答えなければならないということはありませんが、後日証拠書類とともに答えられてしまうと調査官としてはまずいなと。

調査の最中でも、指摘した問題点について証拠書類とともに説明をされる、納得してしまうと調査官の負けです。

調査官と事業者の間で対立してしまうことになりますけど、反論ができる材料を持っているだけで調査官からしたら脅威なわけです。

この反論に対する根拠や法律を駆使して調査官は立ち向かっていかなければなりませんからね。

この証拠書類をどう保存するかですけど、メモ書きでもいいと思いますし別途整理しておいてもいいと思います。

例えば、交際費として使った飲食代。

飲食店から受け取ったレシートに「いつ・誰と・目的・一人当たり金額」などを記入しておくといいでしょうね。

他にも、事業用と家事用の按分割合についてなら計算根拠をメモ書きしておく。

ポイントは、口頭で説明するだけでなく根拠資料も作成しておくことです。

調査官に目に見えるように突きつけるわけですね。

しっかりしていると判断されて手ごわい事業者だと思ってもらえるかもしれません。

調査に協力的である

調査を行う前に調査日の予約を行います。

その時から調査官は事業者が調査に協力的かどうかを気にしています。

何の理由もなく調査拒否をすると調査官は「あれ?」と思います。

実際調査に伺っても書類が出てこないとか、質問してもまともに答えないなど、対応があまりよくないと「とことんやってやろうじゃないか」と調査官も思ってしまいます。

文句を言ったりけんか腰に対応したりすると調査官も人間ですから、どうしても印象が悪くなってしまいます。

穏便にすませる、大人な対応を心がけるのがいいと思っています。

逆に調査官がけんか腰になったらしめたものです。

けんか腰になるということは調査官も焦っている証拠ですから。

こういう場合あまりにひどいようなら統括官にすぐ報告して対応してもらいましょう。

担当税理士や事務員も調査に協力的である

事業者の方ですでに関与されている税理士や担当の事務員さんがいると一緒に調査に立会いをされる場合があります。

会計帳簿を確認する際には事業者ではなく税理士などが作成されている場合が多いので、調査官も税理士などに質問をしたりするわけです。

そこで、税理士などが横柄な態度をとると調査官としてもちょっと大丈夫かな、となってしまいます。

あくまで事業者に対しての調査なわけですが、そこに関与している税理士や事務員の仕事ぶりを見て調査の展開を判断することもあります。

やっぱり協力的であると調査自体もスムーズに進みますし、指摘した書類がすぐに出てくるなど事業者をフォローされているのを見るとこれは大丈夫だろうなと。

一方で、税理士や事務員がろくに質問に答えない・資料を出さない・態度が悪い・事業者に罵倒するとかあるとこれはやばいなと(罵倒するは実際ありました…)。

とにかく調査官の印象を悪くしないようにすることって大事です。

意外と横柄な態度をとる税理士が多いので(特に比較的大きな企業の税理士)、調査官の戦闘意欲を高めさせてしまいます。

まとめ

今回は私が思う行きたくない調査先を挙げてみました。

こうやってみると、普段からきちんと整理整頓をしている・調査に協力的である・大人な対応を取っておくことが大事なのではないかなと感じます。

実際どれかが欠けていると狙い撃ちされてしまいます。

逆にその部分をきちんとしておくことで調査官の指摘を減らせる効果があると思います。

では。

[事務所お知らせ]

編集後記

年金相談実務研修が11月に東京で行われます。

予定は5日間で、うち2日間はリモート研修なので自宅で、残り3日間は東京の社会保険労務会連合会で行われます。

先日案内が来まして、応募させていただきました。

研修後は街角の年金相談センターや年金事務所での実地研修を行ったうえでようやく業務に派遣されるということになります。

まだ本決まりじゃないのに社会保険労務士連合会の目の前にあるビジネスホテルを予約しました。

1泊4,700円で朝食付き。

今だからこそこの値段なんだろうなと思いますね。

社会保険労務士会連合会は日本橋にあり、税務署勤務中に仕事で周辺に出かけていましたから思い出深いところです。

コロナがどうなるかわかりませんが、研修が行われることを信じて。

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