令和4年度も始まり、新体制のもとで労働基準監督署調査が行われます。
昨年厚生労働省ホームページにアップされた「令和2年度長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果」をもとに今後の労働基準監督署調査を考えてみようと思います。
このような資料を確認することで労働基準監督署が何を重点的に調査しているのかを知るいいきっかけになります。
令和2年度監督指導結果
今回行われた監督指導結果の資料を確認してみます。
確認すべきポイント
主な法令違反の内容を確認してみます。
- 労働時間
36協定なく時間外労働を行わせていること、36協定が無効または36協定で定める限度時間を超えて時間外労働を行わせていることにより違法な時間外労働があった - 賃金不払残業
時間外労働をしたにもかかわらず割増賃金を支払っていない - 健康障害防止措置
衛生委員会を設置していない、健康診断を行っていない、1か月あたり80時間を超える時間外・休日労働を行った労働者から医師による面接指導の申し出があったにも関わらず面接指導を実施していない、客観的方法その他適切な方法により労働時間状況を把握していない
また、過重労働による健康障害防止のため、労働時間の適正な把握のために指導を行ったことも書かれてあります。
業種ごとでも集計がされていて、商業や製造業の割合が高いです。
事業場規模別の監督指導実施事業場数ですと、1人~9人・10人~29人で70%近くを占めています。
また、企業規模別の監督指導実施事業場数は、1人~9人と10人~29人のほか、100人~299人・300人以上でも実施されていて、特に300人以上規模が一番実施されています。
監督指導事例から見る注意点
この資料には実際に監督指導した事例が掲載されています。
把握した事実と労基署の対応、そしてポイントとなる法律を図解で整理されています。
詳細は資料をご覧いただければと思います。
があげられています。
特に時間外労働の上限規制ですが、2019年4月に労働基準法が改正されたことを知らないと違法残業を指摘されてしまう可能性があります。
そのほか、36協定の届け出をしていないとか、労働時間を把握していない場合も指摘されるということです。
36協定の締結の仕方が誤っていて要件を満たさない場合(「労働者の代表」が民主的な方法で選出され、会社の一方的な指名ではダメ)は36協定は無効となります。
また、年次有給休暇についても2019年4月の労働基準法の改正により年5日は会社が時期を指定して取得させる必要があります。
この事例3つから読み取れる調査ポイントをまとめると、
まとめ
詳細な内容は厚生労働省ホームページでご確認いただければと思いますが、このような情報提供を行っているということは、注意喚起です。
今後もこのような調査を行うから事前に確認しておいてほしい、という表れだと思います。
今一度締結している36協定を確認してみて、法律と照らし合わせて大丈夫なのかどうか。
もし不安なら社会保険労務士に確認してみるとか、労働基準監督署に事前にお伺いしておくというのもありかなと思います。
特に法律改正があった部分は注意が必要かと思います。
では。