先日とある相談会場にて「税金を安くしたいんだけど」というご相談をお受けしました。
個人の方でしたけど、確定申告時期真っ只中。
この時期にこのようなご相談は正直困るところです。
もっと早い時期ならまだ考えられたかもしれませんが。
「節税」は簡単ではない
税金を安くしたいということで節税対策を考える方もおられます。
毎年この時期に行われる税務相談会でも節税のお問い合わせをお受けすることがあります。
ただ、皆様にお伝えしているのは「節税することは簡単ではないですよ」ということをご理解いただくようにしています。
もともと私自身は節税のご提案はできるだけしたくありません。
もちろん制度として合法的な範囲内ではご提案することもありますけど、巷であふれている節税方法の多くはグレーあるいは黒の場合が多いからです。
あと、確定申告時期に節税を考えるのは時期が遅すぎます。
税金が出そうだからということで慌てて調整をしたいということのようですが、極端な変更は税務署に目をつけられます。
また、12月末の段階ですでに1年間の収支は決まってしまっていますので、年が明けた2月や3月の時期に節税をしたいと言われても困ってしまいます。
【事務所お知らせ】節税は早い時期に考える
もし節税をしたいと考えるのなら、せめて10月までかなと。
そのためには
- 毎月の収入や経費をきちんと集計しておくこと
- 証拠書類を保管しておくこと
- 今後の予定など
をきちんと整理しておくことが大事になるかなと思います。
正直12月に考えるのは遅いかなと思います。
先ほども書きましたけど、節税は簡単にできるものではありません。
状況を把握し納税のシミュレーションをしっかりしたうえでしかご提案できないと考えています。
確定申告時期のご相談はあくまで昨年1月から12月までの分なわけです。
今後の申告においての節税方法を考えるのなら今の時期ではありません。
昨年分の確定申告書を提出したあとで検討されるのがいいと思います。
例えば、令和5年1月から12月分の確定申告で節税を検討したいとします。
令和5年3月15日までの確定申告はあくまで令和4年1月から12月分ですので、令和5年2月時点での確定申告相談会にて相談したとしても令和4年分の申告では無理です。
令和4年分の確定申告が済んだあとであれば令和5年分の確定申告についての節税相談には応じられるのかなと思います。
ただし、遅くても令和5年10月くらいまでには方向性は決めておきたいところです。
節税だけで満足ですか?
私個人的な意見になりますが、税金を安くしたい気持ちはよくわかります。
しかし、税金を安くしたいという気持ちだけが先に出てしまっている人が多い印象です。
節税したいという方のお話を聞くと、法人成りを検討しているもののちょっと怪しいな・グレーだなと思う処理をされている方もいらっしゃいます。
しかし、そもそも税金を安くしたいという気持ちがある一方で、ほかに余計な支払がされていないのかなと不思議に思うのです。
税金をどうしても払えないほど困窮されているのなら仕方ないかと思います。
しかし、節税を検討されている方の多くは不自由ない生活を送られていることが多いです。
お勤めもされていて、年金も受け取っている・副業もある。
それでも節税をしたいというお気持ちがあるのです。
受け取った金額がそのまま税金になるかというとそういうわけではありません。
納税の義務は国民の義務でもあります。
巷の節税情報が限りなくグレーに近いものもあるので、情報を鵜呑みにして税務調査で余計な罰金を支払う羽目になるケースも多いです。
そんなきわどい行為を私は推奨したくないなと。
なので節税提案はできるだけお受けしたくないというのがホンネです。
痛い目に合っている納税者を多く見てきたから特にそう思います。
節税をしたいということは手元にお金を残したいという気持ちがあるでしょう。
プライべートで充実した生活を送りたいという気持ちもあるかもしれません。
しかし、
- そもそもプライベートでお金を使いすぎていませんか?
- スマホ代・通信費など固定費を使いすぎていませんか?
- 事業で必要な経費を使いすぎていませんか?
節税のためにお金を使うなんて本末転倒。
節税よりもまず見直すべきものがあると思うんです。
特に働いているのであれば納税はきちんとしていくべきだと思います。
まとめ
気分を害された方がいればすいません。
ただ、確定申告の相談会で節税のご相談をお受けすることは意外と多いです。
もちろんご本人はたいして気にしていないのでしょうし悪気もないと思っています。
ただ私の中で明確に回答できないというアンテナが反応してしまいます。
それとともにこのようなお客様が実際来たら嫌だな、という気持ちがわいてしまいます。
確定申告時期いろいろと考えてしまうと思いますけど、節税対応は早め早めに対応いただいたほうがいいと思います。
そのためには適切な納税をするというのが前提ではありますが。
では。