今回は税務署内のお話。
最後に所属していた源泉所得税担当の仕事について書いてみようと思います。
源泉所得税担当は7年間やりましたので大体の仕事の流れは把握できています。
ではまず源泉所得税担当って何?から説明してみようと思います。
「法人課税部門」の中の「源泉所得税担当」
源泉所得税とは、会社や個人事業主が従業員に給与を支払うと所得税を天引きして税務署に納付することになるその所得税のことです。
ほかにも個人事業主に対して一定の報酬を支払う際に天引きをするのも源泉所得税です。
税務署の組織には大きく、
- 法人課税部門:会社担当
- 個人課税部門:個人事業主や個人担当
- 資産課税部門:所得税のうち譲渡所得や、相続税・贈与税担当
- 徴収部門:滞納税金の整理や管理など
があります。管理運営部門というものもありますがいわゆる税務署の窓口担当です。
源泉所得税担当は法人課税部門の中にしかありません。
そのため、個人事業主が従業員に支払う給与について税務署から問い合わせが来るときは法人課税部門から連絡が来ますので不思議に思う方もいらっしゃいます。
で、なぜ源泉所得税「担当」と書いているかですが、特に部署として区別されているわけではなく「法人課税第〇部門」となっていて一般的に分かりにくいからです。
私が電話をかけるときは、
法人課税第〇部門・源泉所得税担当竹平です
とお伝えしていました。
東京国税局管内の税務署ですと法人課税第2部門や3部門あたり。
大阪国税局ですと法人課税の終わりの数字のほうになるかなと思います。
源泉所得税担当の仕事
では、源泉所得税担当の仕事について書いてみたいと思います。
未納整理
源泉所得税は支払った翌月10日または半年に1回納付をしていただく必要があります。
通常納付がなければ一定時期になるとハガキをお送りして納付状況の確認をしていただいています。
この段階では、納付書の書き漏れや書き間違いにより納付データがうまく反映できていないこともあります。
給与の支給がないという連絡がないため確認を依頼するという意味合いも込めてハガキで回答してもらいます。
しかしその後も回答がないと電話で督促を開始します。
目標数値がありますのでしつこく連絡をします。
もし資金繰りの関係などで納付できないのなら、納税の告知という処理をして税額を決定したうえで徴収部門に引き継ぎます。
徴収部門では一括で払えない場合には分納手続きをお受けできますので会社や事業主に来署していただくことになります。
扶養是正
昨年の年末調整が終わると当年1月末までにお住まいの市区町村に給与支払報告書を提出することになっています。
この市区町村に行く情報をもとに住民税を決定するわけですが、計算ミスがあると市区町村から直してくださいね、と連絡がきます。
この際に住民税だけ直すのではなくもともとの源泉所得税も直す必要があるわけです。
しかし直していない場合には市区町村から税務署に連絡が来ることになります。
そのため、毎年10月くらいになると税務署から「扶養控除の見直し」という文書が届くようになります。
まず、市区町村から扶養控除に誤りがあるという文書の中身を確認して税務署側で是正する必要があるのかを検討します。
その後文書を送付する準備を行い発送します。
発送後、本当に是正されて納付いただけているのかを確認し、もし納付がなければ未納整理と同じように何度も督促を試みます。
不納付加算税や延滞税の処理
支払った月の翌月10日までに源泉所得税を納付すべきなのですが期限に遅れると不納付加算税がかかります。
場合によっては延滞税もかかることになります。
期限が過ぎた納付についてはリスト化されて本当に不納付加算税を賦課していいのかどうかチェックをします。
納付書の書き間違いということもあり得るからです。
チェックをしたら通知書の送付を管理運営部門にお願いします。
一方で、不納付加算税が免除される場合もありますのでその通知書を作成してお送りする事務も行っています。
還付請求書の審査
源泉所得税を多く納めすぎた場合には、誤納額還付請求書または充当届出書を提出していただくと還付を受けることができます。
その内容の審査もこちらで行っています。
年末調整の還付請求書の審査も行っていますので、12月以降忙しくなります。
源泉所得税単独調査
源泉所得税担当単独で税務調査を行う場合があります。
一般的な事業会社ではない神社・お寺・幼稚園などを調査することが多いです。
源泉審理
私もやっていたことがありますが大変でした。
特に非居住者関連の相談が多い都心の税務署では内容が難しくてうんざりしていました。
まとめ
今回は源泉所得税担当の仕事について簡単に解説してみました。
このほかにも電話相談や来署相談の対応などもありますのでじっと座っていられないのが実情です。
あと、税務調査以外は内部事務ですのでお子様をお持ちの女性職員や私のような病気を持った男性職員が多くいる印象です。
では。