「墓穴を掘る」という言葉。身を滅ぼす原因を自分から作ることをたとえた言葉です。
税務調査では、まず始めに調査官との世間話から入っていくのですがここでついついしゃべりすぎてしまって余計なことまで言ってしまうという現場を何度か見てきました。
だまっておけばなんとかなりそうだったのに、つい余計に話した一言で不正につながったり追加の調査をすることも出てきて、調査が長期間になったりします。
そこで、墓穴を掘らないために注意することを今日は書いてみます。
答えるのは聞かれたことだけでいい
調査官は、訪問していきなり本格的な調査はしません。
世間話から入ることが多いです。
天気のこと、経済の状況とか。最初はどうでもいいような話です。
しかし、徐々に仕事に関連した話に移行していきます。
事業の概要の質問や、事務所の周りを見渡して目に見えたことを質問してきたり。
ここで、仕事の話に移行してからが注意。
最初の世間話で調子がいいと、その後しゃべりすぎてしまう方が多くいらっしゃいます。
先ほど書いた事務所の見渡しての質問など、正直世間話と仕事の話の境目が微妙なところほど危険なのです。
なぜなら、この事務所を見渡して聞いてくるのは調査官としてある意図があります。
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- 帳簿に出てこないようなことを知る
- 事前に調べてきたことの確認作業
そして、ここで確認したり知って認識した内容をさらに深く知りたいときに、ついついしゃべりすぎてしまうと思うツボなのです。
例えば、こういう場合。
取引先を事前に把握していた調査官は、事務所を見渡しカレンダーやティッシュを見て「この会社は取引先にないけど関係あるのかな?」と思うのです。
そこで、「カレンダーやティッシュはいただきものですか?」と調査官より質問。
世間話でしゃべって満足した社長(事業主)が、「そうです。昔からつきあいが。」
この一言で調査官は「あれ?怪しいぞ」と思うのです。
カレンダーやティッシュをもらう付き合いのある会社と取引があるのではないかと。
取引があればその取引先分の売り上げを計上せず脱税しているのでは、と思うのです。
結果として、この取引先のことも調べる必要が出てきてしまうのです。
たった一言を調査官は見逃しません。
「昔からつきあいが」が余計でした。「そうです」だけ答えておけばよかったのについついしゃべってしまうのです。
でも分かります。緊張していますから。
ただ、調査官としてはいろいろ答えていただきたいところはありますけど、聞かれたことだけを端的に答えられればいいと思います。
あいまいな回答
何もすべての質問に回答する必要はありません。
もしその質問が分からないものなら、後日回答するで全然大丈夫。
どうしても早く調査を終わらせたいという気持ちからか、分からないようなあいまいなものでもすべて答えようとする方がいます。
結局それは逆効果。
適当に答えたことで、まったく調査官の納得が得られず最終的に調査全体が長引くこともあるのです。
その答えに納得できないと調査官も徹底的に調べるのです。たとえ、その事実が間違っていたとしても。
あいまいな回答をしたせいで、それを立証するのにすごく時間がかかってしまうのです。
調査はその日だけで絶対終わりません。
そのあとも、調査官とのやり取りがあって最終的に調査の結果が出ます。
分からなければ、「あとで調べます」で大丈夫ですよ。
税理士に調査の立会いをお願いするメリット
墓穴を掘らないために自分の発言に気をつけるのもありますが、税理士に調査日に立会いをお願いするというのも有効です。
関与されている税理士に、事前に調査のシミュレーションをしてもらったりして調査日も一緒にいていただくことで、事業の質問以外は税理士が回答してくれます。
もし事業の質問が来た時に言葉に詰まった時も、関与している税理士なら助け舟を出してくれるかもしれません。
なにより一緒にいていただけるので安心感があると思うのです。
実は調査官は1人で訪問するので、調査官のほうが実は緊張したり心細いなと思うこともあるのです。
自分で何もかも回答して墓穴を掘ってしまうよりはリスクは大幅に減ると思います。
まとめ
今回は、調査で墓穴を掘らないためにということで書きました。
税務調査については今真っ最中なのかもしれませんね。
調査官からの質問に動揺してしまうことも、しゃべりすぎてしまうこともよく分かります。
なので私が調査を受けたらこうしたほうがいいなと思ったことを書いてみました。
参考になれば幸いです。
では。
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