年金事務所や街角の年金相談センターで年金相談をしていると、ほぼ毎回聞かれるのが税金のことです。
お勤めをされている方も多いですので気になるのは分かります。
その際の私のスタンスをお伝えしておこうと思います。
基本スタンス
年金相談員としての立場をわきまえてあまり足を踏み込まないようにしています。
年金相談員として相談を受けている以上は税理士ではありませんので、あくまで相談をお受けするスタンスは、
- 原則論をお伝えする
- 詳細なお話は税務署や市区町村で確認してもらう
ことにしています。
ここからは、具体的に各年金ごとに書いてみたいと思います。
【事務所お知らせ】老齢年金の場合
年金相談を開始する前に必ず現在お仕事をされているのかどうかは確認しています。
お勤めされているのであれば給与を受け取っておられますので、65歳から受け取ることができる老齢年金をもらえるようになると確定申告が必要です。
給与と年金両方をもらえるようになると、在職老齢年金として年金が調整される制度があります。
最近は支給停止の上限が引きあがったことで支給がされない方はあまりいません。
そのため、年金相談時に給与と年金を受け取ることができる方には、
- 確定申告が必要である
- 日本年金機構から年金の源泉徴収票が届く
- 給与の源泉徴収票と年金の源泉徴収票とともに申告をしてほしい
- 申告内容についてご質問・ご不明点があれば税務署へ
をご案内させていただいています。
では、一方で今お勤めをされていない場合や老齢基礎年金をお受けになられる場合には年金収入だけですので質問されたときにだけお答えしています。
年金収入400万円以下でほかに所得がなければ確定申告はしなくてもかまいません。
住民税の申告は必要になることがありますがそれも源泉徴収されているかどうかにより話も変わりますのでこちらから積極的にお話することはしていません。
まとめると、老齢年金の場合には、
勤務していない、ほかに所得がない、基礎年金のみ:聞かれたとき
としています。
また、65歳からもらえる年金を置いておき増やしてからもらう「支給の繰下げ」を選択される場合も税金の影響については必ずお伝えしています。
遺族・障害年金の場合
遺族・障害年金は、税金はかかりません。
しかし、遺族年金では、65歳以上でご自身が老齢厚生年金を受け取ることができる場合にそれに見合う遺族厚生年金が支給停止になることがあります。
その場合にトータルの年金額は変わらないものの年金の内訳が変わる場合がありますので、税金がかかりそうなギリギリのラインの方にはお伝えすることはあります。
ただ聞かれたら答える形ですので、遺族・障害年金の場合にはこちらからお伝えすることはしていません。
未支給年金の場合
亡くなった方が受け取るべきであった年金を遺族が受け取ることができます。
これを未支給年金といい、遺族の一時所得となり税金がかかります。
しかし、一時所得には特別控除50万円が設けられていますので、未支給年金が50万円を超えないと所得(もうけ)が出てきませんので税金はかかりません。
そのため、未支給年金の場合は、遺族の一時所得として確定申告の対象になる旨お話したうえで源泉徴収票が来るので税務署で確認してもらうようにお願いしています。
ただし、特別控除50万円がありますので50万円を超えないのなら所得に影響は出ないです、と付け加えています。
未支給年金については正直判断が難しいです。
遺族の方がほかに所得があって確定申告をしている場合もあるでしょうし。
ただ何年も遡って未支給年金を請求された場合など明らかに特別控除50万円を超えるのであればご案内させていただいています。
まとめ
年金相談の窓口で税金について聞かれたときには、基本立場は年金相談員であり税理士ではないので原則通りのアドバイスに終始します。
しかし、ある程度確認をして帰りたいという方もおられますし、たまにバックヤードにいる職員から税金についても答えてあげてほしいと言われることがあります。
その場合でも年金相談で聞いた範囲内で回答するにとどめています。
あくまで時間通りに相談が進んだ場合に回答していますので日によってはお伝えできないこともあります。
ただし優先順位は考えていて、給与と年金を受け取る方の確定申告のご案内はほぼ必ずするように心がけています。
では。