事務処理誤り事例にみる年金相談の問題点

年金相談の窓口を担当する社労士向けに定期的に事務処理誤り事例の報告が年金事務所からなされます。

その内容を見る限り、いつ自分が犯してもおかしくないなと思うことがあります。

そんな事務処理誤り事例から見た年金相談の問題点を考えてみたいと思います。

事務処理誤りの事例

事務処理誤り事例とは適切な事務処理を行っていなかったことからお客様にご迷惑をおかけした事例、ということになります。

事例を分析してみると、

  • 誤った手続きのご案内をしてしまった
  • 年金見込額を交付したが他人の記録だった

というものが多いです。

誤った手続きの案内は正直私も正しくできている自信はありません。

不安になった時はバックにいる職員にお聞きして回答させていただくようにはしていますがもし間違った案内をしてしまったらすぐに謝罪させていただいています。

これは正直お客様のとらえ方次第なところはあって、制度のご説明をしたとしても違ったとらえられ方をされたりすることもあります。

ただこちら主導でご案内した手続きの流れに誤りがあったらそれはすぐに謝ります。

わざわざ予約をしていただいてご来訪いただいているので申し訳ないからです。

あと、今後の年金の受取見込額をお渡しすることがあります。

その際には、必ず名前と年金番号にマーカーを差し引いて必ずご本人にご確認いただくことになっているのですが急いでいると忘れてしまうこともあります。

そんなときに他人の記録を交付してしまうのです。

他人の記録ですからいわゆる情報が漏れてしまうということですので大問題です。

では、なぜこのようなミスが起きてしまうでしょうか??

むしろ最近誤り事例は増加傾向にあるように思います。

【事務所お知らせ】  

事務処理誤りが増える背景を考える

事務処理誤り事例を見るとおそらく以下のようなことが背景にあるんじゃないかなと考えています。

時間管理が厳しすぎる

年金相談は事前予約制が基本となっています。

相談時間はその手続きの内容により異なっており、老齢年金は45分、遺族・障害年金は60分、未支給年金30分・年金見込額のご案内30分などとなっています。

その時間内に、

  • 窓口受付票に記入いただきご本人様確認をする
  • 書類のご案内と記入のご説明
  • 添付書類の原本とコピーをお預かり
  • 今後の年金見込額のご案内
  • 受付控えと説明事項の交付
  • 終了
  • 相談事跡の入力
  • チェックシートの記入と書類審査

というものをやるのが一般的です。

老齢年金は45分間ですが、後にご予約のお客様がいなければご質問が解消するまでできるだけ時間をかけて対応させていただきます。

ただ、その後すでにご予約が入っておりお客様がいる状況が当たり前なのです。

すでに窓口にお越しいただいていることも多々ありますので、そうなると「早く終わらせなきゃ」という心境になってしまいます。

焦ってしまうんですよ。

人によってはもっと相談に乗ってもらいたいこともあるのでしょうけど、打ち切らざるを得ないこともあるのです。

慌ててミスをしてしまうのは正直申し訳ないですけどしょっちゅうです(泣)。

おそらく事務処理誤り事例の多くは、普段はきちんと対応されている社労士が起こしたことだと思っています。

そりゃ、時間に追われたら誰だってミスしますよ。

時々、昼から夕方まで予約時間で埋まっていることがあります。

例えば、

  • 13:00~14:00:遺族
  • 14:00~14:45:老齢
  • 14:45~15:30:老齢
  • 15:30~17:00:遺族+未支給

みたいなのはざらにあります。

お客様が遅れてきたりしますとスタート時間が変わることもありますよね。

それでもお構いなしです。

トイレ休憩すらないことも。

以前この状況が2回続いたので年金相談担当の社労士に「この状況おかしくないですか?」と言ったことがあります。

受付終了後の事務作業が多い

受け付けた書類の審査やチェックシートの作成があり、それに時間がかかってしまうのです。

チェック項目が多いわりに「ここはチェックしなくてもいいんじゃないの?」という欄がたくさんあったりして。

次の予約時間前までには終わらせたいわけです。

老齢年金などは45分間フルで使うことはあまりなくて、次の予約まで少し空いたりしますのでその時に片づけています。

しかし、次の予約の準備もしたいですよね。

そうなるとゆっくりできない状況になります。

年金見込額は自分次第

年金の見込額は私たち自身で入力をして出力をしますので、誰かがチェックすることはありません。

一応事務所によっては年金見込額を事前に出力していただいているところもありますが、再度自分でも同じ金額になることを確かめてからお渡しするようにしています。

私はこの年金見込額の出力はいまだに怖いですが、あくまで見込額なので実際の年金額とは異なります。

その旨も事前にお話はさせていただいています。

まとめ

一時期年金相談を止めようと本気で思ったのが、この事務処理誤り事例を公表するだけで改善されることがなかったのです。

事務処理誤りが出てくる原因は、時間に追われることと書類審査にかかるチェックが多すぎることにあるのかなと思っています。

年金相談の窓口には年金事務所の職員もいるのでその職員がどうお考えなのか知りたいところです。

  • 無駄な仕事してませんか?
  • 時間に追われていませんか?

きっと私と同じような考えをお持ちの社労士や年金事務所職員がいるような気がします。

今後の改善に期待しつつ年金相談に入っています。

では。

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