先日のブログで、現物給与について課税される考え方について書いてみました。
その中で、食事の支給が課税される場合についてはさらにポイントがありますので今回取り上げてみたいと思います。
食事を支給した場合
会社が社員食堂を開設し社員等に低価額で食事を提供している場合など、会社が食事を支給した場合には現物給与となり源泉徴収が必要です。
しかし、業務上の必要性や福利厚生の面も考慮して一定の要件を満たせば課税されないことになっています。
課税されない場合は、以下の2つの要件を両方満たす必要があります。
- 社員等が食事の価額の半分以上を負担している
- 食事の価額(消費税抜き)から社員等が負担している金額を控除した金額が月額3,500円以下であること
この2つの要件を満たさなければ、食事の価額(消費税込み)から社員等の負担している金額を差し引いた金額(=会社負担額)が給与として源泉徴収が必要です。
【事務所お知らせ】間違えやすいポイント3つ
この要件のポイントは以下の3つで勘違いも多いところです。
「食事」という現物を提供していること
この取り扱いは、あくまで食事という現物を支給する場合のものですので、現金で食事代を補助する場合には、この要件には当てはまりません。
この場合、補助する金額全額を給与として源泉徴収が必要です。
3,500円以下のとらえ方
月額3,500円以下というのは、あくまで課税されないためのひとつの要件であり、非課税としての控除額を定めたものではありません。
・1か月の食堂の食事の価額11,000円(消費税1,000円が含まれている)
・社員から徴収した額6,000円
・会社が負担した額5,000円
この場合、「会社が負担した5,000円から3,500円を控除した1,500円を課税対象とした」というのは誤りです。
①社員等が食事の価額の半分以上を負担している
→6,000円≧11,000円×1/2=5,500円 ∴要件満たす
②食事の価額(消費税抜き)から社員等が負担している金額を控除した金額が月額3,500円以下であるかどうか
→10,000円-6,000円=4,000円>3,500円
∴要件を満たさない
この場合、給与として源泉徴収の対象となる金額は会社が負担した5,000円となります。
消費税の取扱い
食事の支給における消費税については、提供するものに消費税が含まれている場合にはその額を含めた額が給与等の金額となります。
一方で、非課税の要件である月額3,500円以下を満たすかどうかは消費税額を除いたところで判定をします。
月額3,500円以下かどうかの判定:消費税抜き
国税庁ホームページ より引用
食事を支給したときの非課税限度額の判定(令和元年10月1日以降)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594-1.htm
*掲載されている事例は軽減税率8%と標準税率10%の両方がある場合ですので応用編という感じです(個人的感想)。
2つの要件を両方満たすように食事負担額を考える
さきほど挙げた2つの要件を両方満たすように、会社が食事を提供する場合には社員の食事代の負担額を考えていく必要があります。
再度要件を掲げておきます。
片方を意識しすぎるともう片方を満たさないことはよくありますので。
- 社員等が食事の価額の半分以上を負担している
- 食事の価額(消費税抜き)から社員等が負担している金額を控除した金額が月額3,500円以下であること
まとめ
今回は、食事の支給が課税される場合のポイントについて書いてみました。
源泉所得税担当をしているときに質問をされたことがあります。
社員食堂だけでなく仕出し弁当を頼む場合に業者に支払う金額を会社が一部負担している場合はこの食事の提供にあたります。
食事の提供をされている会社もあると思いますのでこの内容は問題となりやすいところです。
では。