税務調査においては、売上がきちんと計上されているかどうかを必ず確認されます。
この中で、特に注意したいのは、不特定者との現金取引と特定の者との取引についてです。
その理由と対応策について書いてみたいと思います。
不特定者との現金取引が問題とされる理由
不特定者とは、来店される一般のお客様であり、お客様との間で現金で商品・品物を販売する場合を想像していただけたらと思います。
現金取引の場合には、現金が手元に残ることになります。
通常、品物を販売すればレジで集計をしてレシート(領収書)を発行します。
例えば、飲食店ですとランチ時は忙しくてレジを打つのがめんどくさくなるのでまとめてでいいだろうと店側は考えておりレシートをもらえないこともありますよね。
レジを打っていないと当然今レジにある現金と合わなくなってしまいます。
そうなると、売上を経理するときに「レジを打った分だけ売上にしたらいいじゃないか」と考えてしまうのです。
この場合は、現金売上の計上もれ、また悪質な場合には売上を意図的に除いた(除外)となり重加算税という重たい税金が課せられてしまいます。
【事務所お知らせ】不特定者との現金取引の対応策
不特定者との現金取引があると、調査官は現金出納帳の残高とレジにある現金とを突き合わせて一致しているのかを検討します。
飲食店ですと、事前に調査官が客として来店してお店の様子やレジ打ちの様子、イスの配置、客単価、回転数などを確認していることがあります。
そのため、普段はこれくらいの売上が上がっているだろうという想定ができており、それより売上が極端に少ないと税務調査で指摘されることが多くなります。
レシートや領収書の発行、レジを打つのは誰か、売上の集計は誰がやっているのかも確認されます。
家族ですと不正しやすいですからね。
注文伝票も確認されます。
よく通し番号がありますけど、その番号が飛んでいたりすると意図的に売上を除外しようとしているのではないかと疑われてしまいます。
さらに予約の管理状況もチェックされますね。
予約が入っている日時に売上が計上されているのかも確認されますので気を付けたいところです。
最近は、POSレジのようにキャッシュレス決済が可能なものも多くなり現金管理はしやすくなってきているのかなと思います。
ただし、キャッシュレス決済分だけ売上に計上し、現金取引は計上しないという無茶苦茶なことをしてしまうお店も出てきそうな気がして怖いところではありますが。
POSレジ(Point of Sale Register)は、小売店やレストランなどで商品の販売や支払い処理を行うためのシステムです。POSレジは、商品のバーコードをスキャンし、価格を計算し、支払いを受け付ける機能を持っています。また、在庫管理や売上分析などの機能も備えています。
引用:ChatGPT より
特定の者との取引が問題となる理由
すでに決まっている得意先とだけ取引する場合もありますよね。
例えば、工事現場において建設会社から外注を依頼された場合など。
この場合、特定の者との取引ですから口約束で契約書も交わさないと。
現場で直接現金を受け取っても請求書も領収書も何もない。
証拠となる書類がないのなら売上に計上しなくてもいいじゃないかと考えてしまいます。
特定の者との取引ですから、お互いの口裏を合わせて工事完了日を翌期に操作することもできそうです。
証拠書類が残らないことと、取引日を簡単に改ざんできることが問題点として挙げられます。
特定の者との取引の対応策
特定の者との取引については、結局仕事の流れを再度取引先との間で考えるということも大切ですね。
誰がどのような手段で受注をするのか。
その後請求書を発行して領収書をもらうまでですね。
また、作業日報など作業の状況を把握できる状況にしておくことも大事になります。
売上との整合性をチェックするためにも、Excelでもカレンダーでも手帳でもいいと思います。
メモ書きでもかまいませんので、いつ・誰と・どんな仕事をしたのかはきちんと把握できるようにしておきましょう。
あとは売上を計上する時期にも注意が必要ですね。
工事が完了しているのに入金が翌年(翌期)だった場合でも、本来の売上を計上すべきは工事が完了した日です。
入金時で売上を計上するのではないということです(例外はありますけど)。
まとめ
売上の税務調査では、売上の計上時期が正しいのかを確認することに時間が割かれます。
業種によりますが、売上の計上時期よりも現金取引や特定者との取引に注目して売上が調査されることもよくあります。
特に例に挙げました、飲食店や建設業などは問題となりやすいかなと思います。
では。