会社や個人事業主が従業員に給与を支払う際には、所得税を天引き(源泉徴収)して税務署に納付しなければなりません。
一方で、個人が家事使用人に給与を支払う場合には例外として源泉徴収しなくてもいいことになっています。
そもそも「家事使用人って誰?」ということと、それに関する源泉徴収の取扱いについて深堀りしてみたいと思います。
家事使用人とは
家事使用人(かじしようにん)は、家庭内での家事や掃除、料理、洗濯などの日常的な家事を手伝うために雇われる人のことを指します。
家事をやってもらう人、つまり「お手伝いさん」をイメージされるといいかと思います。
【事務所お知らせ】家事使用人への支払いと源泉徴収
家事使用人は、家事をやってもらう人ですから給与を支払ったとしても事業に関係がないため経費になりません。
家事はあくまで事業としてではなくプライベートで行うものととらえているようですね。
労働基準法でも、家事使用人は労働基準法や最低賃金法の適用から除かれています。
家事使用人に支払うものは経費にならないということは、裏を返せば源泉徴収は必要ない(→源泉徴収できない)というわけです。
受け取った家事使用人は確定申告
一方で支払いを受けた家事使用人側では、収入を得ているので所得税がかかります。
源泉徴収されていない=所得税を前払いできていない状況なわけですから、確定申告をすることで所得税を納めます。
源泉徴収されていれば確定申告は原則必要ありません。
源泉徴収しなくてもいい場合
常時2人以下の家事使用人だけに給与や退職金を支払っている個人は、源泉徴収をする必要はありません。
じゃあ3人以上なら源泉徴収するのかという話ですが、そもそも3人以上のお手伝いを雇うって大富豪くらいなもので大掛かりすぎませんか。
- 本当に家事だけ手伝っているの?
- 事業でも使っていない?
という疑問がわいてきます。
家事使用人は、支払側は源泉徴収しなくていい・受取側で確定申告をするということですが、この場合確定申告をしない限り所得税を納めてもらえません。
国としては税収が減るわけです。
家事使用人の人数が多ければ多いほど税収に影響が出てしまいますので、支払時に源泉徴収をしてもらって税のとりっぱぐれを防ぎたいというのがホンネかもしれません。
事業専従者との違い
家事使用人は、家事をやってもらう人ですが似たようなものとして事業専従者というものが所得税にはあります。
例えば、事業に従事している家族に給与を支払うという場合がありますね。
この場合、
- 白色申告であれば事業専従者控除として配偶者であれば86万円、その他の家族であれば50万円を事業専従者控除として所得から差し引ける
- 青色申告であれば届出書を税務署に提出すれば、届出た範囲内で支払った給与は経費にできる
つまり、家族への給与を経費にできます。
経費にできるということは、支払った際に給与として源泉徴収が必要になる、ということです。
さらに、受け取った家族側では給与所得となります。
給与だけなら年末調整の対象となりますので、年末調整が完了すれば確定申告は不要です。
まとめ
以前Twitterで反応したところ自分の認識が間違っていて失礼しました。
考え方のポイントは、
⇒支払ったものは経費にならない
⇒経費にならない=源泉徴収不要
・家事使用人側では確定申告が必要となる
にあります。
事業で雇っている場合には経費になります。
この場合は、給与や外注費として処理することになりますので源泉徴収が必要になるのが基本です。
家事使用人の定義が条文上明確に示されているわけではありません。
そのため、混乱を招くところではあるのかなと感じます。
では。