外注費を支払う際に注意したいこと

製造業や建設業では、自社で加工するのが困難な場合に工程の一部を外部にお願いすることがあり、この場合に支払うものを「外注費」として処理します。

外注費を支払っている場合には、①外注費か給与か②本当に外注費を支払っているのか③外注先の税務申告、が問題となります。

今回は外注費を支払った際に注意したいことを解説してみたいと思います。

外注費の性格

外注費は本来、ある工事の専門業者に個別に請け負わせてその対価として支払うものです。

基本的に工事着手前に契約書を取り交わし、専門業者ですから免許や許可を与えられているはずです。

しかし、中小事業においては、専門業者だけではなく雇われ的な業者だったり1人親方に何でもやらせるような外注費も多くあります。

その場合には、本当に外注費で処理していいのかと、そもそも業者が存在しているのかという問題が出てきます。

雇われ的な業者や1人親方にお願いするときに、一般的に工事契約書を取り交わすことなく専門業者でないことから登録や許可を受けていないこともあります。

一番の問題は、雇われ的業者や1人親方側の税務申告がなされていない=無申告者も多いということです。

記帳も不備が多いため、本当に外注先としてふさわしいのかどうかという問題も生じます。

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外注費か給与か

この経費の区別は非常に難しく、外注費として処理していたのに税務署側から給与だと指摘されることもあります。

給与だとすると、

①経費にかかる消費税分が引けなくなるため消費税の納税額が増える

②給与の源泉徴収が必要となる

という点で税務署側としてはうまみがあります。

外注費か給与かですが、外注費は事業の収入になること・給与は雇用契約による収入であることが前提です。

以下の点を総合的に見て判断することになっていますので、双方の主張の対立は否めません。

  • ほかの人がその外注工事を代わりにできるのか
  • 作業時間が決められているのか
  • 作業場所や作業工程が指示され監督を受けているか
  • 工事に欠陥があった場合に誰が責任を負うことになっているのか
  • 材料や用具等の代金は誰が負担するのか
単純に作業のみを行ってその時間や日数で代金が支払われているのであれば給与と判断され源泉徴収の納付もれを指摘されることになります。

ただし、お客様側が外注費であると主張するならそれなりの根拠は揃えておく必要がありますし、一方税務署側は給与だと主張するだけの根拠が必要となります。

税務調査では調査官から給与だと主張してくることが多いと思いますが、それをはねのける根拠があれば充分対抗できます。

それだけこの外注費か給与かの判断はもめますので、調査官でもこの部分にあえて触れない=調査に時間がかかってしまうわりに効果が薄い、という方もいらっしゃいます。

もちろん上司である統括官の指示もあるので何とも言えないところではありますけど。

本当に外注費を支払っているのか

契約書などがなく、中には請求書すらない。

手書きの領収書だけ1枚という場合には、相手が本当に存在しているのか怪しいと思われてしまいます。

ひょっとしたら外注費を支払ったように装って自分が受け取っているのではないかという疑いをかけられてしまいます。

要は、外注費を支払った事実は常に疑われるということです。

対応策としては、工事の受注から工事完成引渡完了までを具体的に明らかにできる工事進捗状況管理表などを備えておくことが大事になってきます。

相手先の税務申告

本当に外注費なのかどうかを調べる際に、相手先の税務申告を調べます。

調査官は調査時に収集した領収書をコピーして税務署に持ち帰ってその住所と氏名を調べたりします。

住所が間違っていることもありますのでそれだけで誤りだと指摘することは多くありませんが、その外注先の申告状況や実際の存在を確認するための証拠固めに入ります。

もし外注先が無申告であった場合には、

  • 給与ではないかと指摘できる(通常事業収入として確定申告してくるはず…)
  • 架空の外注費ではないか
  • 外注先への税務調査

を検討することもありえます。

そのため、外注先の税務申告状況も税務署は把握している、ということは知っておいていただけたらなと思います。

まとめ

今回は外注費を支払う際に注意すべきことをまとめてみました。

外注費があるとどうしても時間をかけて調べたくなります。

それだけ簡単に架空の経費を作りやすいものだと思いますので税務署側も注意してみています。

では。

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