先日、とある本を読んでいて脱税と節税との違いについて書いてあり、これと租税回避行為についての違いについても書かれてあり興味を持ちました。
租税回避っていう言葉もニュースでお聞きになったことがあるかもしれませんね。
今回は、これらの言葉について解説してみたいと思います。
【事務所お知らせ】脱税・節税・租税回避とは
脱税とは、
をいいます。
一方で節税は、
をいいます。
租税回避とは、
です。
この3つの言葉は色でざっくりと例えられます。
②どちらとも取れず案件ごとに法的判断が必要:グレー
③まったく法的に問題なし:シロ
とすると、
- 脱税:ブラック
- 租税回避:グレー
- 節税:シロ
と言えます。
脱税の具体例
脱税の例としては、
- 本来の帳簿とは別に、税務署向けに利益の少ない帳簿を作成するいわゆる「二重帳簿」により申告納税をする
- 売上を帳簿の記載しないで抜いておき自分のポケットマネーにする「売上除外」
- 架空の経費を作って帳簿に記載し利益を少なく見せる「架空経費」
- そもそも申告をしない「無申告」
などがあります。
租税回避の具体例
租税回避の例としては、各国の富裕層などが「タックス・ヘイブン」と呼ばれる租税回避地を利用して税負担を少なくするという実態が問題となっています。
各国の税制の違いを利用することで、法人グループ全体の税負担を減らすという国際的な租税回避も行われています。
法律上はたしかにのっとっているかもしれないけど、取引内容に問題がありそうな気もするな、という感じですね。
節税の具体例
節税の例としては、法人税や所得税の「青色申告制度」・所得税において「医療費控除を受ける」などがあります。
節税は後ろめたいことは一切なく税金を納める私たちの権利。
法律にのっとって取引をするうえで税務上も認められているもの、です。
節税は慎重に検討を
先ほどシロである節税・グレーである租税回避については、ニュースやネット記事で公表されていたりするのでそのまま信用してしまうこともあります。
税の専門家でない方がうまく情報発信をしてしまうのも問題かなと。
一見節税っぽく見えて脱税まがいのことをしている可能性も考えられます。
それをやっている本人は気づいていないかもしれない。
特に租税回避については、法の抜け穴を狙ったものですから法律が整備されたらアウトになってしまうようなものも多いのかなと。
私個人的には節税には興味がありませんしお客様へ指導もしません。
無料相談会などで法人成りのご相談をいただくことがあります。
税金上は優遇されることも多いでしょうけど税金以外のことも考えてから行動されたほうがいいとお伝えするようにしています。
思いつくまま挙げると、
- 社会保険料の負担
- 厚生年金に加入することで厚生年金分が上乗せ
- 生活費
- 貯蓄状況
例えば、税金面だけ考えて経費を増やせば税金の負担が減らせるという情報だけを信じてしまい経費にならないものも経費に入れてしまう。
その場は税金を減らせたかもしれませんが、手元にお金が残っていますでしょうか?
生活していけますでしょうか?
怖いのが数年後訪れる税務調査で指摘されて追加税金と罰金を支払わなければならなくなったりもする可能性が十分にあります。
節税をするって税金のことだけ考えたらいいというわけではないと私は思っています。
なので、節税についてのご相談は簡単にお受けしていないのです。
お客様の生活状況も踏まえて時間をかけて考えていくものだと思いますので。
安易な節税は脱税一直線な気もしますので。
過去節税という脱税で苦しんだ法人を見てきましたから。
まとめ
今回は脱税と節税・租税回避という言葉のイメージと、節税について個人的な考えを書いてみました。
ネット上では節税という言葉があふれています。
節税を売りにしたらお客様は増えるのかもしれませんけど私はしません。
税務署の調査官側にいた人間なので節税自体あまりおススメできない部分は正直ありますね。
では。