給与を支払っている会社や個人事業主は、給与を支払う際に源泉所得税を天引き(徴収)して税務署に納付する必要があります。
この会社や個人事業主を「源泉徴収義務者」と言ったりします。
もし源泉徴収義務者が源泉所得税を期限までに納付しなかった場合、税務署から電話やハガキなどで自主納付を促す未納整理が行われます。
【事務所お知らせ】未納整理とは
資金繰りが厳しい法人や個人事業主は預かっているはずの源泉所得税の納付額を使いこんでしまうこともあります。
そのため、源泉徴収義務者が納付すべき源泉所得税を期限までに納めなかった場合には、税務署から電話やハガキにより自主納付を促したりします。
もちろん未納ではないのに未納ではないかと税務署側が思っている場合も税務署から問い合わせが来たりします。
これらは未納整理と言われ、全国の税務署で行われています。
もし自主納付ができない場合には、税務署は源泉徴収義務者への照会や回答に基づいて源泉所得税を納税告知します。
納税の告知が行われて指定された納付期限(告知から1か月以内)に完納(すべて納付)がない場合には、源泉徴収義務者に督促状を送り納付の督促が行われます。
その後、督促状を発送した日から10日経過した日までに完納しない場合、原則として源泉徴収義務者の財産差し押さえなど滞納処分が行われます。
源泉取得税の担当で行うのは、未納整理と呼ばれる段階までです。
具体的には、電話やハガキで自主納付を促しもし納付ができないなら納税の告知を行うところまで。
納税の告知以降督促状を送ったりという部分は徴収部門にお任せします。
未納整理から税務調査ってあるの??
税務署の源泉所得税担当は、源泉所得税の納付の有無や納付税額を管理しています。
毎月法人税の申告書の提出があると申告書や決算書の中身をチェックしています。
個人事業主の場合は、確定申告書と決算書をチェックします。
どこをチェックしているかというと、預り金の内訳書や決算書を確認して未納の税額がないかどうかです。
源泉所得税の性質は、従業員から預かったもの(預り金)ですから、源泉徴収義務者が納付していない状況を税務署側が放置するということはありえないわけです。
この場合、源泉所得税が未納であることが分かった場合には、情報を調査部門に引き継ぎます。
法人課税部門では源泉徴収義務者ごとの納付状況を確認することができますので、未納状況が分かれば一緒に税務調査をすることも可能です。
実績が簡単に作れますので調査担当者からしてもラッキーな案件に早変わりします。
経営悪化が分かる未納整理
しかし、税務調査の実績は作れたとしても税金がすべて納付できるのかというとなかなか厳しいのが現状です。
なぜなら、源泉所得税が未納であるということは資金繰りが非常に厳しい状況に陥っている可能性が高いからです。
もしかしたら消費税も未納になっている可能性がありますし。
調査の実績にはなるけどそれで終わらせていいのか。
未納整理だけで終わらせいいのか。
私が未納整理担当だったころはこの葛藤がいつもありました。
もちろん源泉徴収義務者の資金繰りについて私たちが分かることではありませんでしたが、きっと無理のある経営を行っているのかなと想像できました。
借入金の返済・経費の無駄遣い・設備投資が過剰・人件費かけすぎ…。
法人税申告書や決算書を見ながらいろいろと感じ取ることができてしまうのが悲しいなと思います。
まとめ
今ちょうど上半期の未納整理をしているころかと思います。
源泉所得税の未納状態は本当はあってはならないはずです。
ただここで真面目な方は徴収部門とお話をしてしっかり分割で払っていかれます。
「源泉所得税が払えないから無視したらいいや!」が一番やってはいけないこと。
納税の告知のあと、徴収部門との話し合いいかんで分割で納付していくことも可能です。
むしろその間に経営の立て直しや資金繰りを考え直していただく機会は十分にあります。
無下に税務署は会社や個人事業主をつぶすようなことはしません。
とにかく源泉の未納に苦しむのなら早めに税務署へ相談をいただけたらと思います。
では。