年末調整は、1年間の給与から納めなければならない年間の税額を計算し、すでに月々の給与で源泉徴収(天引き)されている税金とを比較して過不足を精算することです。
もし、結婚や就職などで扶養親族等の数が変わった場合は、どのように対応したらいいのでしょうか?
変更があった時点までさかのぼって源泉徴収の計算をし直さなければならないのでしょうか?
【事務所お知らせ】源泉徴収は「仮計算」
毎月の給与から天引きされる税金は、あくまで仮の姿です。
概算でいったん払ってもらったものを年末調整をすることで正しいものにすることになります。
源泉徴収の際に使う税額表は給与の変動がないものとして作成されていたり、1年間を通じたら受けられる控除が一部しか反映されていません。
生命保険料控除や地震保険料控除は毎月の給与の源泉徴収には考慮していませんし。
通常、毎月の給与の源泉徴収と年間の税額には過不足が生じることになります。
さかのぼっての変更はせずに年末調整で
結婚や就職で扶養親族等の数が変わった場合でも、毎月の源泉徴収においてはその変更後の支払分から修正するだけで遡って各月の源泉徴収を修正することはしません。
そのため、1年間で控除する配偶者控除や扶養控除などは控除が受けられるのに受けていない・または受けられないのに受けてしまっていたりすることになります。
例えば、毎月20日支払の給与で、8月1日に就職した特定扶養親族がいたら8月20日の給与支払時から扶養親族の数を減らして計算することになります。
その前にある7月20日支払いまでの部分を遡って修正することはしないということです。
年末調整では、特定扶養親族の扶養控除額63万円を減らしたところで過不足を計算することになります。
この場合、扶養控除等申告書には控除対象扶養親族にあたる人の異動内容を記載しておくことが大切です。
また、源泉徴収簿にも異動内容を記録しておきます。
年末調整で織り込んで計算
先ほども書きましたけど、毎月の給与における源泉徴収を計算する前までに従業員から扶養親族の数に変更があった旨を報告いただかないと反映できません。
しかし、従業員側からその都度報告をいただくこともなく会社側としても面倒だなと感じる方も少なくありません。
ちょうど11月ころから来年分の扶養控除等申告書の配布とともに今年の扶養控除等申告書の内容確認が行われます。
この段階で今年の扶養控除等申告書に修正内容を記載することで、年末調整時にその内容を反映させたらまだ間に合います。
毎月の給与の源泉徴収はあくまで仮計算ですし、最終的には年末調整で1年間の税額が確定することになりますから、年末調整時点で正しいものに変更しておけば大丈夫です。
ただし、変更した段階ですぐ毎月の給与の源泉徴収の計算に織り込んでおけば年末調整の過不足の金額が小さくて済みます。
もし年末調整時点で変更する場合には、源泉徴収の金額と年税額の差額が大きくなり結果として過不足が大きくなってしまう可能性があります。
源泉徴収>年税額なら還付になりますので、金額が増えるのは従業員にとってはラッキーですよね。
ただ、源泉徴収<年税額なら「税金が足りない=追加で徴収する」ということになり従業員の負担が増してしまうことがありますので注意が必要です。
また、扶養親族の異動が多かった従業員はその都度変更を申し出ていただいたほうが過不足は生じにくくなります。
これは会社側の事務負担や従業員の数にも影響します。
私は家業の給与計算と年末調整を担当しているので、従業員には異動があったらすぐに連絡をしてもらい、直後の給与支払日から源泉徴収に反映させるようにしています。
年末調整の結果不足額が生じて追加で払ってもらわなければならなくなるのが会社側も従業員側も困るわけです。
払ってもらうことをお伝えする必要があるためストレスですし、従業員も嫌な顔をしてしまいそうな気がします。
もちろん、異動があるから不足額が生じてしまうという説明ができたら従業員は納得してもらえるかと思いますけど、その不足額が大きくなれば影響大ですよね。
なので、できるだけ不足額が大きくならないように異動内容は直後の毎月の給与計算で反映させておくようにしています。
まとめ
今日は、扶養親族の数が変更になった場合の年末調整について書いてみました。
毎月の給与の源泉徴収ですぐ反映できればベストですが、最悪年末調整時に反映できれば大丈夫です。
ただし、生じる過不足が大きくなってしまうことがあるので注意が必要です。
もし、年末調整後に扶養親族に異動があった(扶養親族の所得が超えていたなど)場合はどう対応するのか、は後日アップいたします。
お楽しみに。
では。