ブリーダーの税務調査のポイントを考えてみた

国税庁ホームページに公表されている令和4事務年度所得税及び消費税調査等の状況。

このなかには、事業所得を有する個人の1件当たり申告漏れ所得金額が高額な上位10業種が公開されています。

前年同様3位にあがったブリーダーですが、なぜ2年連続でランクインしたのか・何が原因なんだろうかと気になったので自分なりに分析してみることにしました。

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ブリーダーとは?

ブリーダー(breeder)とは、動物の交配や繁殖に従事する人をいいます。

犬や猫などペットを扱うことが一般的であるとされているようです。

ブリーダーには資格制度は特にありませんが、動物取扱業の登録が必要になるとされています。

私はそれほど身近ではないのですが、ペットブームなどからやっておられる方が増えているようです。

ブリーダーの収入と経費

ブリーダーを事業としてやっていこうとすると、収支計算が必要になります。

収入金額は「一匹いくら」という形になろうかとは思いますが、繁殖回数や買取価格により計算ができます。

一方で経費としては、以下のようなものが考えられます。

  • 交配料
  • 健康管理費
  • 医療費
  • 衛生管理費
  • ドックフード
  • サプリメント
  • ワクチン接種代
  • 水道光熱費
  • 家賃
  • 交通費

この中で、交配料からワクチン接種代まではペットに係るものであれば経費となります。

一方で、水道光熱費・家賃・交通費は事業に係るもののほかプライベートで使う部分がある場合には、事業に係るものだけを経費にします。

ブリーダーが問題となった事例

ブリーダーがここまで申告漏れが高額な上位にランクインされることになったのかというと、コロナ禍による巣ごもり需要によるものだとされています。

外出できないからペットでも飼ってみたい・ペットに癒されたいという意識なのかもしれません。

精神的ストレスを解消するために、という理由もありますね。

事例としては、ペットオークションで得た売上を申告していなかったということがありました。

私が思うに、「確定申告が必要なのにしていない=無申告状態」というブリーダーが多いのではないかと考えています。

ペットショップや動物病院に併設してブリーダーをしているという場合もあり、ブリーダー分の申告をしていないということが分かってしまうこともありますよね。

ネットで販売していれば情報は税務署側もつかんでいますから。

税務調査のポイントを考えてみる

さきほど書いた無申告の状態が一番多そうな気がしますが、ほかにもあります。

まずは、在庫管理ができていないということ。

在庫とは、いわゆる販売用のペットですね。

年末までに販売されずに残っていたら在庫としてカウントをする必要がありますがそれをしていないと在庫計上がもれていることになります。

次に、経費の家事按分ができていないこと。

先ほども書きましたけど、ペットそのものにかかる経費のほか、家賃や水道光熱費などの経費は事業に係る分とプライベート分とが曖昧になっています。

これを区別する必要があるわけですが、例えば営業時間とか使用時間などで事業分とプライベート分を分けることができたら事業分を経費にすることができます。

「全額経費にすることはできないよ」ということです。

最後は、消費税について。

簡易課税制度を選択している場合には、第1種から第6種までの業種区分がありますが、ブリーダーの場合は売上の内容により様々な区分が考えられます。

  • 第1種:仕入れたペットを事業所に販売
  • 第2種:仕入れたペットを一般客に販売
  • 第3種:繁殖したペットを販売(いわゆるブリーダー)
  • 第4種:繁殖用親生体の売却
  • 第5種:ペットレンタル料

基本的にブリーダーしかやっていないのであれば第3種事業に該当することになりますが、内容によりけりだということは確認しておいたほうがいいでしょう。

まとめ

今回は、先日公表された申告漏れ所得金額高額上位10業種にブリーダーが2年連続ランクインしていたことで考えたことを書いてみました。

私はブリーダーのことを知らなかったのですが、事業のほか副業や趣味でされている方も多いようですね。

そのため、本来確定申告をしなければならないほどの所得があるにも関わらず申告していないケースが多そうな気がします。

今後も同様の傾向が続くのかは分かりませんけど、今回の情報が少しでもお役に立てば幸いです。

では。

 

 

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