個人事業主の方の記帳指導やお問い合わせで、経費の計上について質問をお受けすることがあります。
クレジットカードでものを買った場合にはクレジットカード会社より利用明細書が送付(またはネットで確認)されてきますよね。
買った時にはお店から領収書やレシートがもらえるかと思いますが、ではどちらの書類を保管しておけばいいのでしょうか。
領収書やレシートはかさばるからと利用明細書だけ保管しておけばいいものなのでしょうか。
【事務所お知らせ】クレジットカード払いの場合
結論からいいますと、
です。
利用明細書を見てみますと、「いつ・どこに・何を・いくらで買ったか」というおおよその内容は分かります。
例えば、利用明細書に「12/15 関西電力 5,000円」とある場合。
関西電力だと電気代でしょうから「水道光熱費」という科目で12/15の経費にして実際まだ支払っていないので未払計上します。
そして、利用明細書に載っている決済日(例えば翌年1/20)に未払計上から普通預金へ振り替えることをします。
ただ、この利用明細書はあくまでクレジットカード会社が発行するものです。
実際に購入したお店が発行しているものではありませんので、本来はお店が発行するものが証拠書類として必要です。
そのため、クレジットカードで支払う際にお店が発行した領収書やレシートも保管するといいわけです。
所得税法と消費税法の違い
先ほど書いたようにクレジットカードで支払った場合には、私は利用明細書と領収書・レシートは合わせて保管いただくようにお願いをしています。
実は、所得税法上における経費の計上はそこまで厳密な対応を求めていないように感じます。
利用明細書だけで経費として認められることは充分にあります。
しかし、消費税法を考えると、実は利用明細書だけではNGということもありえるのです。
消費税の計算方法に原則課税という方法があります。
売上に含まれている消費税から仕入・経費に含まれている消費税を差し引くことで納める消費税を計算していきます。
仕入・経費に含まれている消費税を差し引くためには、帳簿書類とともに請求書(領収書やレシート)の保存が必要だと条文に書かれてあります。
この場合、クレジットカードの利用明細書についてはあくまでクレジットカード会社が発行するものであり、お店が作成し発行しているものではありません。
利用明細書にお店の名前は載っているかもしれませんがインボイス登録番号が載っている書類にも該当しないため、領収書や請求書にはあたらないとされています。
消費税の計算方法の違いにより対応が異なる
消費税の原則課税で申告をされる方は利用明細書のほか請求書と領収書・レシートがあったほうがいいでしょう。
一方で、簡易課税や2割特例を利用される方は売上から直接消費税を計算しますので仕入・経費に含まれている消費税には関係ありません。
インボイスの保存が不要ですので、利用明細書の保管だけでもOKかと。
さらに、消費税の申告が不要な免税事業者で、所得税の経費を計算する際には利用明細書があればOKです。
まとめ
今回はクレジットカード利用明細書と経費の計上について書いてみました。
クレジットカードの利用明細書しか残っていない場合でも、消費税に影響がなく所得税の計算においてその利用明細書だけで判断できれば経費にすることもあります。
ただ、お客様には今後のこともあるので利用明細書だけでなくお店の領収書・レシートの保管をお願いするようにしています。
やってはいけないのは何も保存せずに捨ててしまうことです。
最低限利用明細書の保管をクリアできているので領収書やレシートの保管もお伝えすればやっていただけます。
では。