先日、会計検査院の資料を読んでいてふと思った基礎控除の適用誤り。
たまに給与や退職金が多い方がいるので改めて注意しないといけないなと感じます。
【事務所お知らせ】基礎控除とは
基礎控除は、本人自身の控除額で本人の合計所得金額に応じて控除額が決まっています。
- 本人の合計所得金額2,400万円以下:48万円
- 本人の合計所得金額2,400万円超2,450万円以下:32万円
- 本人の合計所得金額2,450万円超2,500万円以下:16万円
- 本人の合計所得金額2,500万円超:0円
普段はここまで所得のある方とは出会わないので「控除額48万円です!」と当たり前に回答しています。
給与収入と退職所得がある場合
給与収入が2,000万円を越えますと年末調整ができず確定申告をすることになります。
この確定申告書を提出する場合には、退職所得も含めて申告をする必要があります。
退職所得は原則として、「退職所得の受給に関する申告書」を提出することにより源泉徴収されており確定申告を行う必要はありません。
しかし、給与所得など退職所得以外に所得がある場合には、退職所得の金額を記載した確定申告書を提出していただくことになっています。
この場合、
というわけです。
会計検査院公表資料より
以下、会計検査院に以下の資料が公表されています。
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary04/pdf/fy04_zumi_03.pdf
ポイントは、
- 法人の役員のうち退職所得を受けたとされている人のうち所得税の確定申告書を行っていた役員を抽出して検査をした
- 所得税申告書に退職所得を含めずに確定申告していた役員が多数見受けられ、基礎控除額が適正に運営されていない蓋然性が高い
- 税務署側も源泉徴収票データを活用した所得税の確定申告書の申告審理が的確に行われていなかった
- 確定申告書に退職所得の金額を含めて確定申告する必要があるのに周知が十分に行われていなかった事実は適切ではなく、改善の必要があると認められた
対応策として、
- 令和5年8月に退職所得等の支払を受けた役員等の所得税申告書における基礎控除等に係る申告審理を行うにあたって事務処理手続きを定め、各国税局等を通じ全国の税務署に周知した
- 退職所得がある年分の確定申告を行う場合は、所得税申告書に退職所得の金額を含めて申告する必要があることについて、令和5年8月・9月に国税庁HPに明確に記載して、受給者等に対して周知する
と書かれてあります。
役員等で確定申告をしている場合は要注意
このような内容が公表されており、対応策も出てきているのであればもちろん納税者である私たちも気を付けたいところです。
特に、新たに事務処理手続きが定められた「退職所得等の支払を受けた役員等の所得税申告書における基礎控除に係る申告審理」は注意したいです。
申告審理とは、申告書の中身が正しいかどうかを審査することを言います。
つまり、役員等の所得税申告書について基礎控除の金額が正しいのかチェックする手続きができたわけです。
また、国税庁ホームページに掲載することで「申告ミスをしたら知らないとは言わせないよ!」という注意喚起をしていると思われます。
今後、役員等で給与所得のほか退職所得を申告する場合は税務署側のチェックも厳しくなることが予想されます。
まとめ
確定申告時期は慌ただしく基礎控除のチェックまで手が回らないと思われるかもしれませんね。
ただ、こうやって会計検査院の検査で指摘された以上は今年の確定申告以降さらに注意して確認していくはずです。
では。