税務職員を退職して税理士になる人はOB税理士と呼ばれます。
私もいずれそのOB税理士になるわけですが、OB税理士の評価として、試験を受けて合格してきた税理士よりどうしても下に見られているような感じがしています(個人的に)。
自分の専門の税法については詳しいけど、その他はまったく知らないなど。
自分の得意不得意ももちろんありますが、どうしても自分はもっと努力しなければという劣等感に陥ってしまいます。
少しでもその劣等感を減らせるように自分がやっていることをいくつか紹介したいと思います。
何が特に劣っているかを知っておく
すでに開業している税理士も含めたところだと、私は何一つ勝負して勝てるものはありません。全般的に劣っているのは明らかです。
まず今実務についていませんから、営業していません。
税法も実務で頻繁に使う環境では今はありません。
もし税理士として登録しても税法科目に合格していないので、それだけでもかなり不利な状況だと思っています。
そこで、全般的に劣っている中で特に劣っていることを先に知っておきます。
私の場合は、以下のものです。
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- 営業(コミュニケーションを含む)
- 税法
- 会計ソフト
- 実務
しかし、その逆で税務職員だったからこそ他の税理士では経験できないようなこともしてきました。それは武器なのかなと思っています。例えば以下のようなもの。
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- 税務調査
- 内部事務
ここでは劣等感をどうしたら少しでも改善させることができるのかを考えてみたいと思います。
劣等感を改善するために
営業(コミュニケーションを含む)
営業はしたことがありません。そして、コミュニケーションを取ることも苦手なほうです。
税務調査もあまりうまく話せずに上司によく怒られていましたし、人間関係になじめずにうつ病になってしまったくらいなので、得意とは言えません。
営業って私は当初会社などへ外回りをするものだと思っていたのです。
しかし、税理士はネット環境があればネットで情報を発信することで商売ができるというのを知りました。
コミュニケーションが苦手でもこれなら何とかなるのかなという希望も持てたのです。
苦手なりにお客様の話をよく聞いてお答えすることで不安もカバーできるのかなと。
ただ、努力はします。
外回り営業をしない分、このブログを読んでいただける方に情報を発信していくこと。
コミュニケーションも取れるように普段から会話を楽しめるようにすること。
そもそも、自分と印象が合う方だけにするのが一番いいのかもしれません。
そのために情報を公開して私の考えに共感してくださる方とだけお仕事したいと思っています。
税法
これは正直、税理士試験の税法科目に合格していないためにずっと劣っていると思っています。
特に、法人課税の職員だった私は、法人税・消費税・所得税(源泉)以外の税法は正直勉強できていません。
所得税の譲渡所得や、相続税・贈与税などはあまり分からないのです。
法人税でも組織再編税制などはよく分かりません。
とにかく税務署での実務で使わなかった税法は知らないも同然です。
税務署で勤務していた時からこの劣等感を少しでも減らすために、税理士講座の税法科目の講義を受講したり、税法実務講座を申し込んだりして自分なりに勉強はしていました。
住民税や固定資産税、国税徴収法も勉強していました。
毎年いろいろな書籍も買換えています。
会計ソフト
会計事務所での実務経験がありませんので、会計ソフトを使ったことがありません。
なので実務が怖いのは確かです。
しかし、今やクラウドで会計ソフトが使えるようになっていますし、一定期間無料で試しに使えたりできます。
私もマネーフォーワードは家計簿アプリをまずは導入していますし、会計ソフトもfreeeとマネーフォーワードは実際に使ってみています。
使い始めたらきっとその劣等感もなくなってくるかなと思っています。
実務
これが今一番劣っていることです。
税理士として独立していない時点で実務経験は積めません。
実際に税理士が税理士事務所でどういう仕事をするのかがわかりません。
税務調査や内部事務の質問対応などで税理士とお会いすることしかありませんでしたので、その時のイメージしかありません。
また、社会保険労務士もそうです。
試験に合格して登録講習は終了しているものの実務の経験はありません。
給与計算や年末調整など源泉所得税の担当をしていた時に知識としては使いましたが、就業規則をコンサルするとか助成金などの具体的なことは分かりません。
これをどう穴埋めしていくか、今考えているところです。
しかし、この劣等感を逆手にとってみるものありかなと思ったりしています。
あえて今までやってきたことだけで勝負する
いつまでたってもこの劣等感は消えない気がするのです。
だって、そもそもこれから実務未経験のOB税理士が登録して独立していくわけですから、周りの税理士に追いつこうと思っても無理です。
同じようなことをやっていても見向きもされないのかなと。
だったら、劣等感があるものをあえて避けて得意な分野・やりたい分野に絞って活動するものありだなと思ったのです。
本来何から何までやる税理士が多いと思うのです。法人税から相続税、社会保険まで何でも。
ただそれだと私に勝ち目はありません。
ではどうしたら自分の劣等感をなくしていけるのか。
それは今まで経験してきた税務署内での仕事を軸にしていくことかなと。
もちろんその仕事は税務署内では対して評価はされてきませんでしたし、自分も決して得意だったとはいえない仕事です。
でも試験で合格した税理士では経験しえないことをしてきているので少しは優位に立てます。
今考えているのは、「調査を専門にする」
税務調査はたくさん経験してきましたし、調査の選定もやっていたことがありますのでどこがポイントになるかはなんとなくわかります。
その調査経験を社会保険労務士の分野にも活かして、年金事務所や労働基準監督署調査も対応できるようにしようと思っています。
会計ソフトもお客様に記帳をしてもらうということで、あまり使わなくてもよくなるかもしれません。
あえて自分がやりたいと思えるものだけを業務として提供する。
何でも屋は私には無理です。
これを思うようになってから諦めがついたのか、勉強することも網羅的ではなくてある分野に特化した書籍だったり、ネットからピンポイントで情報を収集するようになりました。
うらやましいですよ。何を聞いても答えられる税理士は。
また求められているのもこういう税理士が多いのも分かりますし。
でも、万人受けする税理士より特定のお客様に寄りそう税理士(社労士)でいいなと思っています。
これを思い始めてから劣等感は感じるものの特にそれでさらに落ち込むことはなくなりました。
万人受けは目指さないのですから。
まとめ
今回は、私が持っている劣等感をなくすように考えていることを書きました。
結果的に、劣等感はあるもののそれで不安になることはしなくなりました。
劣っているものはある程度改善するように努力はしますが、決してそれがプラスに働くとは限らないわけです。
ましてや、もしそれが改善されてもお客様が満足いただけるのかと言われたらまた別の話で、いくら何でも知っていても態度が悪かったりしたら問題ですから。
お客様を選びつつ、選ばれたい。
全てのお客様に対応することは無理だと諦めがつきました。
では。
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