ある農家の方から「昨年税務調査で自動販売機の設置手数料収入が漏れているって言われたんです。ここまでも調べているんですね」と言われました。
実際、個人事業主の方の税務調査でよく指摘を受けるところです。
なぜわかってしまうのでしょうか。
【事務所お知らせ】税務署に来る情報と設置場所の確認
実際、自動販売機を設置すると業者と個人事業主との間で契約が行われて、販売手数料から電気代を差し引いた設置手数料収入がもらえる、という流れが一般的です。
自動販売機の設置にかかる費用は電気代のみの場合が多く、自動販売機自体の費用や設置作業代はかかりませんので、毎月の販売手数料から電気代を差し引いた金額が設置先様の利益になります。
引用:ダイドードリンコHPより
https://www.dydo.co.jp/jihankiconsul/news/n91
税務署には設置する業者などの情報や銀行口座の情報が集まってきています。
それだけではなく、調査当日や数日前に個人事業主宅や事業所に伺ったときに周りに自動販売機が設置しているかどうかを確認します。
情報が正しいのか、実態の確認を合わせて行っているわけですね。
農家の場合ですと田畑やハウスなどの近くに自動販売機を設置していたりします。
これらの情報をもとに本来は設置手数料収入として計上しないといけないにもかかわらず計上されていないと調査官から指摘されてしまうことになります。
消費税の売上げにも含める
自動販売機の設置手数料収入は、消費税の売上げにあたりますので消費税の計算の際に収入金額として含めないといけません。
消費税の申告の際に見落とさないようにしないといけないですね。
ちなみに、自動販売機の設置手数料は簡易課税の事業区分では第5種事業(サービス業)になります。
少額だけど税務調査に勢いを与えてしまう
実際、自動販売機の設置が1台だけだったりしますとその収入なんて大きな金額にはならないかもしれませんね。
しかも、その収入を意図的に除いて脱税を考えていたわけではなく、おそらく収入に計上しなければならないことを知らなかったケースがほとんどだと思います。
ただ、調査官の立場からしたら請求書や領収書と帳簿を確認する前段階ですでに1件の「収入計上もれ」を発見しているわけです。
1件誤りがあると精神的な余裕から税務調査に勢いがついてしまうかもしれません。
調査官の立場から申し上げると、誤りが見つけられないときほどプレッシャーに感じることはありません。
なんとかして1件でも多く誤りを見つけないと自分の業務成績に結びついてしまいます。
この点、自動販売機の収入もれは事前にわかっていることもある一方で収入に計上し忘れるケースが多いように思います。
対応策
では、自動販売機の設置手数料の収入をもらさないようにするためには、やはり契約書のと入金口座のチェックかなと。
その点が曖昧になっているなら業者と事前に確認をしておくべきでしょうね。
あと、自動販売機が設置されている場所も再度確認しておくべきですね。
家のそばの自動販売機ならチェックする必要はないですけど、例えば事業所や田畑に設置していたり家から離れたところに設置しているののなら確認は必須です。
複数台設置している場合はなおさらです。
もし入金口座を事業用以外の口座にしている場合には事業用口座へ移すと収入もれが防げるかもしれません。
もし振込みではなく現金受け渡しになっている場合はやめたほうがいいですね。
振込みでの入金をお願いすると通帳に記録が残りますので収入のもれは少なくなるでしょう。
まとめ
この農家の方はほかにも現金収入の計上もれを指摘されていました。
現金で取引したもので請求書や領収書など証拠書類が残っていないとやはり調査官は怪しいと思ってしまいます。
現金取引の売上計上もれもよく指摘されるものですので、売上をできるだけ漏らさないように工夫をしていく必要があります。
では。