毎年この時期になると農家の方の確定申告を作成します。
毎年20件以上作成していますが、ある程度稼げている農家とそうでない農家の傾向がわかってきた気がします。
【事務所お知らせ】「稼げている」とは?
ここでいう稼げている農家とは、売上がたくさんあるだけではありません。
売上から経費を差し引いたもうけである所得があり、預金や現金の残高が多いこと。
つまり、売上がいくらあっても通帳にお金がない場合は逆に経営が苦しいのかなと感じてしまいます。
稼いでいる農家の傾向
農業は自然を相手にしていますので天候に左右されたりしますが、それは同じ地域で同じ作物を栽培している農家であれば共通していることです。
私が住む地域では梅農家が多いので、今回梅農家で稼げていると思う農家の傾向を探ってみたいと思います。
売上について
梅はJA・卸売市場・産直スーパーに直接売るという3つのケースが想定されます。
多くの農家はJAだけですが儲かっている農家は売上先が複数あるのが特徴かなと。
ただ売上に関してはどの農家も出荷をする前提で仕事をしますので稼げているかどうかはそれほど変わりません。
経費について
この経費の使い方次第だと私は思っています。
というのは、JAで肥料や農薬など買ったりしますとJAから「営農取引報告書」というものが毎月送られてきて、1年間の集計も出してくれます。
決算書を作成するときの基礎資料となるもので、JAで支払ったものだけならこの報告書を集計すれば決算書が作成できます。
ただJAだけで必要なものがすべてそろうわけではありませんよね。
例えば肥料や農具を専門店で買うとか、コーナンやコメリなどでこまごまとした材料を買うこともあるでしょう。
そのほか、手伝っている人に給与を渡すとか、お菓子や飲み物を提供するためにスーパーで買い物をすることだってあるでしょう。
ただ、JA以外で買い物をたくさんしている人ほど稼げていないのかなと感じます。
というのは、経費をいくら使ったのか把握しづらいことと現金取引が多くなるからです。
営農取引報告書を見ると今月経費としていくら使ったのかがはっきりしますが、JA以外で買う場合にはカード決済などをすれば確認できます。
しかし、多くの農家はちょっとした買い物ですと現金で支払っています。
現金でモノを買いますとレシートや領収書をもらってくるわけですが、これをいちいち確認しているのかというと普段はしていないのではないかなと。
そうなるとご本人はいくらお金を使ったのかわかっていないケースが多いです。
あと、経費を把握できていないことで「昨年と同じくらい使ったらいいや」と考えてしまう傾向にあります。
手伝ってくれた方にお菓子やジュースを買ってあげる場合も経費にしていたりしますがあまりに金額がかさんでくるとどうなのかなと。
専従者給与も同じですね。
毎年見直しをせずに去年と同じ給与を支払うとなると、自然を相手にしている場合には売上が減っている場合には給与を取りすぎてしまっているかもしれません。
専従者給与の届出の範囲内で減らすことも考えていく必要がありますがそれに気づかないケースも多いですね。
残高管理と書類管理
売上や経費に関連して、手元にお金がいくら残っているのかを把握しているかどうかにもよります。
記帳代行を依頼される場合であったとしても、どれくらいの収入があって経費をいくらくらい使ったのかがイメージできているかどうかです。
確認しやすいのは、毎月の営農取引報告書をチェックすることです。
その報告書を踏まえてJA以外で買うものを考えている、というのも稼げている農家の特徴かなと。
営農取引報告書以外の取引量が多いと、レシートや領収書・請求書が各お店から発行されてきていますよね。
よくレシートや領収書が束になって保管されていたりしますけど量が多いために雑に管理されていますね。
後日レシートが見つかったとか、領収書をなくしたとかいう状況をよく見かけます。
農業をするうえで本来必要なものを買っているのかという判断が曖昧になっていることもありますね。
これってプライベートで買ったものだよねって。
儲かっている農家さんはレシートや領収書の数は本当に少ないです。
基本はJAから買うことにして、こまごまとした材料のみをお店で買う。
振込みやカード決済にしてレシートを減らせると書類管理も楽になります。
まとめ
3年間で100件近い農業申告を担当していて思ったことを書いてみました。
結局収入関係では同業の農家とさほど変わることはありませんが、結局経費の使い道と管理の仕方で稼げている農家かどうかがわかる気がします。
では。