4月になり新たに従業員を採用される会社や個人事業主の方もいらっしゃるかもしれませんね。
従業員を採用するときには、雇用保険や税金に関する手続きがあります。
今回はその一連の流れを確認してみたいと思います。
【事務所お知らせ】従業員を採用したときの事務スケジュール
従業員を採用したときには、以下の手順で行うのが一般的です。
- 労働条件の説明と身元保証書の受け取り:採用決定時
- 前職の書類の受け取り(前職の源泉徴収票など):最初の出勤日
- 雇用保険の手続き:採用の翌月10日までに行う
被保険者資格取得届をハローワークに提出する - 源泉徴収簿の作成と扶養控除等申告書の受け取り(給与計算の準備):最初の給与支払日の前日まで
このほか、会社ですと、採用後5日以内に社会保険の手続きを行う必要があります。被保険者資格取得届などを年金事務所に提出します。
会社に採用されている役員や従業員は社会保険に原則加入する必要がありますが、パートやアルバイトなら労働時間などで加入をするかどうか判断します。
従業員5人以下のサービス業(の一部)・法務業・宗教業を営む個人事業主に採用されている従業員は社会保険に加入する必要はありません。
会社と個人事業主で行う手続きの違いは社会保険手続きを行うかどうかですので、以下共通している事務手続きについて注意点を書いてみたいと思います。
雇用契約の手続き
採用が決まった従業員に対して、勤務時間や給与金額など労働条件の重要部分をまとめた「労働条件通知書」を作って説明をします。
労働条件通知書は同じものを2部作成し、1部は従業員に、もう1部は会社(事業主)が保管します。
労働条件通知書は従業員との契約書ですので必ず説明するようにしましょう。
労働条件通知書は厚生労働省の様式ダウンロードコーナーからダウンロードすることができます。
採用が決まった従業員には、身元保証書・前職の源泉徴収票があれば受け取り、前職の雇用保険被保険者証があれば提出してもらいます。
身元保証書は、万が一事業主が損害を受けた場合に本人以外の者にも損害賠償請求ができるようにしておくものです。
また、この従業員に関する労働者名簿も作成しておきます。
労働者名簿も厚生労働省の様式ダウンロードコーナーからダウンロードできます。
雇用保険の加入手続き
雇用保険に加入しなければならない従業員を採用したときは、採用の翌月10日までに「雇用保険資格取得届」をハローワークに提出します。
前職で雇用保険に加入していた場合には、前職の雇用保険被保険者証を預かって被保険者番号を資格取得届に書き写します。
雇用保険に加入しなければならない従業員とは、次の両方に該当する人です。
- 1週間の所定労働時間(勤務時間)が20時間以上である
- 31日以上雇う見込みである
パートやアルバイドなど関係なく要件を満たせば加入する必要がありますし、加入したくないといっても加入しなければなりません。
この資格取得届を提出すると、雇用保険被保険者資格取得届等確認通知書(被保険者通知用)と雇用保険被保険者証が交付されるので従業員に渡します。
雇用保険に加入している従業員へ給与を支払う場合には、給与から雇用保険料の本人負担分を差し引く必要があります。
ただし、個人事業主と同居している親族を雇用している場合(事業専従者)は原則として雇用保険に加入しません。
ですので、家族経営で行っていて子どもを専従者として採用する場合などはこの手続きは不要です。
所得税と住民税の手続き
採用後最初の給与計算をする日までに本人に「扶養控除等申告書」を記入してもらいそれをもとに源泉徴収簿を作成します。
前職のある方は前職の勤務先の源泉徴収票を提出してもらう必要があります。
前職での住民税がどうなっているのかも本人に聞いて確認しておきます。
もし退職後から5月までの分を転職先で天引きすることを従業員本人が選んでいる場合には、前職で発行される「給与所得者異動届」を持っているはずなので受け取ります。
この手続きは複雑なので記載されている市区町村に連絡をして内容を確認しておくといいでしょう。
まとめ
今回は、従業員を採用した場合の流れをご説明しました。
採用した従業員の手続きはめんどくさいかもしれませんけどもれてしまうと後で従業員が困ることになりますので大事に進めていきましょう。
では。