一人親方の税務調査ポイントの4回目です。
今回は、人件費関係を見ていきたいと思います。
基本的に一人親方と書いてあります通り従業員を雇うことは基本的に想定しておりません。
しかし、一人親方でも仕事を手伝ってもらうことがあります。
【事務所お知らせ】一人親方の労災保険の特別加入
一人親方は労働者としての側面があり病気や怪我によるリスクが大きいことから労災保険に特別に加入することが認められています。
労災保険に特別加入するための要件は、
- 人を雇わず、人に雇われずに仕事をしていること
- 人を雇っても年間で100日以内であること
- 家族だけで仕事をしていること
です。
このうち、家族だけで仕事をしていることも要件に入っているように、一人親方だけでなく家族従業員である。「専従者」も特別加入をすることができます
専従者とは、一緒に住んでいる家族と仕事をしているイメージで結構かと思います。
専従者ほどではないけど、短期間で子どもなどに仕事を手伝わせてアルバイト代を支払うということもあるかもしれませんね。
したがって、家族にアルバイト代を支払ったときや専従者に支払った給与が経費になるのかどうかがポイントになります。
家族へのアルバイト代
原則的に一緒に住んでいる家族への給与は経費にできません。
ただし、別居しておりおサイフが別(家計が別)であれば経費とすることができます。
忙しいときに子どもに手伝ったもらったからアルバイト代を支払っていたとしても、一緒に住んでいておサイフが一緒なら経費にできません。
昨年の記帳指導でも息子が実家に帰省してきたときに家業を手伝わせてアルバイト代を支払うのは経費にできるのかという相談を受けました。
この場合も、別居はしていますが生活費の出どころは父親である一人親方でしたので経費に入れることはできないと回答しました。
専従者控除(息子や妻)
先ほども書きましたが、原則的に一緒に住んでいる家族への給与は経費にできません。
しかし、一定の要件を満たせば、白色申告であれば専従者控除・青色申告であれば専従者給与として経費に入れることができます。
今回は青色申告の特典である専従者給与に絞って説明しますと、
- あらかじめ届出が必要
- 実際に支払っていること
- 仕事の内容に対して妥当な金額であること
という3つの要件をすべて満たせば経費にすることができます。
この「3要件をきちんと満たしていますか?」というのが税務調査でもポイントとなります。
白色申告の場合でも結局は「仕事をしているのか」が重要です。
一人親方の仕事を専従者が手伝っているからこそ専従者としての控除(経費)が認められるわけです。
仕事の内容次第では、一人親方と同じ仕事はできないかもしれません。
それでも現場に移動して手伝っていることを証明できないと経費とは認められにくいかと思われます。
対応策
専従者の給与を控除(経費)にするためには、要件はいろいろありますけど仕事をしている事実を明らかにすることが大事です。
日報やカレンダーなどでどのような仕事をしたのかをメモしておくことも証拠としては大事ですし、実際支払っていることも要件になっています。
そのため、現金手渡しだと証拠がわかりにくくなるので専従者の口座に振り込むようにして支払った事実を残しておくことも必要ですね。
まとめ
今回は、一人親方の税務調査のうち人件費関係について見てきました。
家族へのアルバイト・専従者への給与支給など一人親方でも支払うケースは多いかと思いますが、経費にできる・できないは迷うかもしれませんね。
もし判断に迷ったら専門家にご相談いただくといいかと思います。
では。