一人親方として働く際の注意点

もともと会社でお勤めされていた方が一人親方として働く場合には注意すべきことがあります。

一人親方としては元請会社との間で契約をして働くことになります。

【事務所お知らせ】  

一人親方は「独立した働き方」

会社で勤務されていたときには、会社の上司から仕事内容の指示を受けて勤務時間が決められていたかと思います。

収入も安定しており休みもあったかと思います。

一人親方は、会社とは独立して仕事をするので、上司からの仕事の指示などはなくあくまで元請会社との契約に基づいて仕事を請け負います。

仕事が完成したら契約は終了です。

勤務時間も休みも特に決められていませんので、雨が降ったら休みにするとかは自由に決められます。

ただ、仕事上でミスがあったら責任は一人親方がすべて引き受けなければなりません。

独立した働き方とは、元請会社の働き方に影響を受けていないというのが大事な要件になっています。

収入は不安定に

会社で勤務されていたら工事の完了にかかわらず給与やボーナスという形で収入をもらうことができます。

給与やボーナスをもらうだけなら年末調整で所得税の計算が終了しますので確定申告をする必要はありません。

一方で、一人親方の場合には元請会社との間で決められた契約に基づいて収入を得る形です。

工事が完了しないと収入を得ることができませんので不安定です。

さらに、一人親方は得た収入とかかった経費をもとに自分で確定申告をして税金を納めなければなりませんので作業の手間が増えてしまいます。

元請会社にやってもらうというわけにはいきませんので注意が必要です。

健康保険や厚生年金に加入できない

会社で勤務していますと、健康保険と厚生年金に加入することになります。

健康保険料は給与から天引きされる代わりに、仕事外で病気やケガを負った場合には扶養されている家族も含めて医療費の負担が3割になったりします。

このほか、年金も第2号被保険者として厚生年金保険料を給与から天引きされる代わりに国民年金と厚生年金を両方納めたことになります。

そのため、国民年金を納めることになっている自営業や無職の方・フリーターの方よりも年金を多くもらうことになります。

また、健康保険料や厚生年金保険料は全額自分で払うのではなく会社が半分払ってくれています。

一方で、一人親方は会社員ではありませんので健康保険に加入することができません。

その代わり、市区町村で国民健康保険に加入するか、国民健康保険組合(建設国保)に加入をすることになります。

保険料は全額自己負担になります。

また、会社員ではないため厚生年金に加入することができません。

厚生年金保険料は払わなくてもいいですが厚生年金部分はもらえません。

つまり、一人親方がもらえるのは国民年金のみです。

これだけだと不安な場合には国民年金基金へ任意で加入することになります。

労災保険は任意加入

業務中の病気やケガの場合には労災保険で対応しますが、一人親方の場合は任意です。

そのため、加入していない一人親方の場合には労災保険が適用できない可能性があります。

リスクを考えると任意で労災保険に加入するほうがいいわけですが保険料は自分で払わなければなりません。

偽装請負との関係

偽装請負とは、元請会社が社会保険や労働保険の負担を免れるために、本来は雇用関係にある従業員を一人親方として請負契約を結んでいる場合です。

元請会社側で問題となるのは、偽装請負が疑われてしまう可能性があるということです。

偽装請負が疑われる状況として以下のような場合が挙げられます。

  • 元請会社の従業員とほとんど同じような働き方(勤務時間や休日など)をしている
  • 一人親方なのに元請会社側の就業規則にしたがって仕事をしている
  • 時間給や日給など定められた時間に基づいて給与が支払われている

偽装請負は一人親方からみてもリスクがあります。

本来の請負金額ではない給与しか受け取ることができない可能性があります。

このほか、元請会社側の社会保険や労働保険は受けられません。

仕事が終わったら契約が終わるため、就業規則に従わないといけない状況なのにクビを言い渡される可能性があります。

本来は従業員だけど一人親方として契約をしてしまわないように、雇用契約を結ぶ場合には不利な条件で契約をしないことが大事です。

まとめ

今回は、一人親方として働く際の注意点についてまとめてみました。

税金面だけでなく社会保険・労働保険・年金とあらゆる方向に影響を及ぼします。

一人親方だけではなく一人親方と契約をする元請会社も注意してほしいところです。

では。

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