売上から手数料や源泉所得税が差し引かれている場合の経理

一人親方が仕事を完成して先方である会社などに請求書を発行して入金をしてもらいます。

その際入金額が請求額と一致していないことがあります。

この場合、入金額と請求額どちらで売上を計上していけばいいのでしょうか?

売上と入金と差額が出る原因

売上と入金とに差が出る原因はいくつかあります。

  • 銀行の振込手数料や支払手数料
  • 源泉所得税

このうち、源泉所得税とは、支払者である会社が一人親方から受け取った請求金額から所得税を差し引いていることをいいます。

「源泉徴収する」という表現をしたりします。

源泉所得税については、

  • そもそも所得税を差し引く必要がある仕事なのか
  • すでに請求書に源泉所得税が記載されていたら正しい金額か

を確認することになります。

一人親方の仕事は源泉徴収の対象か

支払者が会社で、受取人が一人親方だとします。

この際、源泉徴収をするかどうかの判断は以下の通りに行います。

  1. 会社が個人にお金を支払っている
  2. 会社には従業員がいる
  3. 相手は個人である
  4. 個人は源泉徴収をするべき仕事をしている

個人を一人親方に置き換えてみますと、

  1. 会社が一人親方にお金を支払っている 〇
  2. 会社に従業員がいるのが一般的なので 〇
  3. 相手は一人親方なので 〇
  4. 一人親方は源泉徴収をするべき仕事をしているか 

4.について源泉徴収すべきものは法律で限定列挙されています。

税理士や弁護士などのほか、測量士や建築士、技術士は源泉徴収の対象となっています。

しかし、多くの一人親方は源泉徴収の必要がありません。

一人親方が請求書を発行するときには源泉所得税の記載をしていないのが一般的ですし、会社側も請求書から源泉所得税を差し引いて支払う必要もありません。

ただし、一人親方の細かな仕事内容を見たら源泉徴収をすべきかどうか判断がつかない場合は会社側が源泉徴収してかまいません。

その場合には会社側で源泉所得税を税務署に納付をします。

一人親方の経理

では、通帳より請求金額から手数料や源泉所得税が差し引かれて入金されてきている場合、請求金額で売上計上します。

入金額ではありませんので注意しましょう。

手数料が差し引かれて入金されている場合

例えば、一人親方が送った請求金額が40,000円、会社側からの入金額が39,450円だった場合、差額550円は振込手数料として差し引かれています。

この場合、

×(借方) 普通預金 39,450円  (貸方) 売上高 39,450円
〇(借方) 普通預金 39,450円  (貸方) 売上高 40,000円
支払手数料 550円

売上高は40,000円と振込手数料を差し引く前の金額で、支払手数料も550円ときちんと認識をさせます。

源泉所得税が差し引かれて入金されている場合

例えば、一人親方が送った請求金額が40,000円、会社側からの入金額が35,916円だった場合、差額4,084円は源泉所得税として差し引かれてきています。

先ほども書きましたが会社側で源泉所得税を請求額から一方的に差し引いてくることもありますのでそのまま従います。

この場合差し引かれている源泉所得税は「事業主貸」と処理します。

具体的には、

×(借方)普通預金 35,916円   (貸方)売上 35,916円
〇(借方)普通預金   35,916円   (貸方)売上 40,000円
事業主貸  4,084円

「事業主貸」については、プライベート口座への出金などと区別するため会計ソフトの補助科目で源泉所得税と設定しておくと区分された残高を集計することができます。

源泉徴収された4,084円は、会社が一人親方の代わりに税務署に払ってくれています。

この分はすでに前払いされている所得税ですので、確定申告で一人親方自身が払うべき所得税から差し引くことができます。

つまり、1年間の所得税額から4,084円をマイナスすることができる、ということです。

まとめ

一人親方側で注意しないといけないのは、請求額と入金額を合わせるということです。

手数料や源泉所得税を差し引く前の金額で売上を計上することです。

源泉所得税については一人親方が受取側だと関係がありません。

源泉徴収するかどうかは支払者である会社側のお話です。

では。

 

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