年金の繰下げ~65歳時点にさかのぼってもらうこともできます

老齢年金の繰下げの制度は、65歳からの老齢年金を66歳以降75歳までに請求をすることです。

繰下げた分だけ年金額を増やすことができます。

一方で65歳時点にさかのぼって年金を受け取ることもできます。

どちらか選択できる

66歳以降に繰り下げて年金をもらう場合は請求時点から増えた年金額を受け取ることができます。

これを「繰下げによる増額請求」なんて言ったりします。

一方で、65歳時点の本来の金額でさかのぼって請求時に一括で受け取ることもできます。

これを「増額のないさかのぼった本来額請求」なんて言ったりします。

つまり、繰下げによる増額請求か増額のないさかのぼった本来額請求を選択することができます。

例えば、65歳時点の年金額が100万円で68歳0月で繰下げ請求をする場合には、

  • 請求した翌月分から25.2%増額した125.2万円の年金を受け取る
  • 65歳時点の100万円の3年分(300万円)を請求した翌月分に一括で受け取り、それ以降は100万円の年金を受け取る

という2パターンを選べる、というわけです。

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増額のないさかのぼった本来額請求の注意点

実は、増額のないさかのぼった本来額請求には注意点があります。

それは税金と保険料です。

先ほどの68歳で繰下げ請求した例を考えてみますと、65歳時点にさかのぼった場合100万円×3年分=300万円が一括で支給されるわけです。

しかし、税金を計算するときのもととなる所得(もうけ)はそれぞれの年で受け取った、と考えます。

したがって、令和6年で68歳だとすれば、令和3年分(65歳)・令和4年分(66歳)令和5年分(67歳)とさかのぼって所得が発生することになります。

もし現在も勤務中で給与は会社で年末調整されているという方の場合には、65歳からの年金を受け取ることでさかのぼって確定申告をすることになります。

もし65歳以降毎年確定申告をしているのであれば年金の所得が増えることになりますので修正申告が必要です。

結果的に、追加で所得税を払わないといけなかったり、市区町村から住民税を払うようにと連絡が来る可能性があります。

さらに、年金の所得が増えることにより介護保険料や国民健康保険料などの保険料の金額も増える可能性があります。

増額のないさかのぼった本来額請求のメリット

一方で増額のないさかのぼった本来額請求をするメリットもあります。

65歳以降になると健康面で不安を覚えたり急に体調を崩す方も多いためまとまったお金が必要になることがあります。

施設に入るためにとか、障害年金をもらうほどではないけど入院をしたとか病院の通院費がかかる、とかですね。

手元にお金があったほうが安心だという場合もあるでしょうね。

その場合にさかのぼって請求をされる方もいらっしゃいます。

また、さきほどの税金や保険料に影響を与える可能性があるのはさかのぼった場合に所得が出ていることが前提です。

年金から生じる所得は雑所得と呼ばれ、年金収入から公的年金等控除を差し引いて求めます。

65歳以上では公的年金等控除110万円がありますので、これ以下の年金を受け取っている場合には所得は出ませんので税金もゼロですし保険料もゼロです。

ただ、給与と年金両方もらう場合には確定申告書の提出をしないといけないのでそこが手間というのはありますけどね。

まとめ

今回は年金の繰下げとして、65歳からさかのぼった本来額請求について書いてみました。

参考になれば幸いです。

では。

 

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