同じ店で同じ金額の領収書がある場合に疑われること

行きつけの居酒屋など飲食店でお客様を接待したときに、領収書やレシートをもらって事業に必要なものを経費にします。

飲食店での交際費は調査官は気になるもの。

私が結局不正だと指摘できなかった経験をもとに今回書いてみたいと思います。

白紙の領収書をもらい自分で金額を記入する

今や飲食店でもレシートを発行することが多いため領収書を改めて発行するところは少なくなってきたかもしれません。

しかし、従来からレジ打ちをしておらず現金払いのみしか受け付けていない飲食店もまだまだあります。

私がある法人の税務調査にお伺いした際、ある居酒屋での飲食代として同じ金額の領収書を複数枚確認することができました。

元帳にはその金額で交際費として計上されていました。

社長にお話を伺いますと、居酒屋の店主から白紙の領収書を渡されて自分で記入したというのです。

一般的に領収書の数字を改ざんする行為は重加算税という重たい罰金が科されます。

特に、同じ金額の領収書があり複写式ではなかった場合には疑われることになります。

場合によってはその居酒屋に反面調査が行われて、飲食の事実がないにもかかわらず適当な店名を記入した可能性も考えられます。

一方で、反面調査の結果、実際に居酒屋に通っていたことが分かった場合は事実認定に移ります。

【事務所お知らせ】  

飲食店で記録が残っていなかった

自分で金額を記入していたのはやはり問題です。

しかし、居酒屋で領収書を発行した記録がない場合には実際の飲食代金がいくらだったのかがわかりません。

私が調査したところはまさにこれでした。

飲食の事実は明らかなのはわかりましたが、居酒屋でいくら使ったのかがわからなかったのです。

飲食した事実があれば交際費として経費です。

ただ、記入した金額が正確ではないことだけをもって領収書を改ざんした=重加算税の対象とはならないのではないかということが論点となりました。

虚偽を立証できなかった

上司や審理担当とも相談した結果、重加算税には当たらないということになりました。

理由は、ウソ偽りであることを税務署側が立証できなかったからです。

居酒屋で飲食をしている事実は反面調査で明らかでしたし、お店が発行した領収書を使っている事実もありました(金額は不正確ですけど)。

一方で、居酒屋で領収書を発行した記録がなく、実際の飲食代金がわからない状況だったことで社長が記入した金額が違っていることを証明できませんでした。

重加算税と紙一重

ただ、もし居酒屋でレシートや領収書の控え・帳簿などが保存されていて、社長が使った飲食代が明らかになっていたら重加算税が科されている可能性がありました。

結局、白紙の領収書はそもそも受け取らないことと、居酒屋で領収書にかかった正しい飲食代を記入してもらうことが大事です。

重加算税と紙一重な行為=疑わしい行為はやめておきたいところです。

まとめ

私が法人税調査をしていた時に出会った事案を書いてみました。

実は、個人事業主の税務調査を専門に行っておられる税理士内田敦さんの書籍に似たような事例があって思い出した次第です。

同じ店で同じ金額の領収書は調査官は怪しいと感じますからお気をつけて。

では。

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