そろそろ会社や事業主の中には年末調整の対応をされ始めるころかと思います。
今回から数回にわたって年末調整をテーマに書いてみたいと思います。
今回は従業員から実際にありそうな相談事例を取り上げてみます。
従業員に年金収入がある場合
ある従業員からこんな相談を受けたとします。
まず、年末調整の対象となるのは給与のみです。
正確にいうと、今年の最初の給与支払日までに会社に提出された「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与が対象となっています。
そのため、会社が年末調整をする際には、公的年金については考慮せずに本年中に支給した給与で年末調整を行います。
なお、従業員が受けた公的年金については、当社から支給された給与と合わせて確定申告により税金の精算を行います。
そもそも、公的年金には年末調整という制度がありません。
公的年金等の源泉徴収票が年明け1月ごろに日本年金機構から郵送されてきます。
給与も年末調整が済んだ源泉徴収票が会社からもらえるはずですので、給与の源泉徴収票と公的年金の源泉徴収票を合わせて確定申告をするということになります。
年金相談をしていますと、働きながら公的年金を受け取っている方がお越しになられます。
公的年金も併せて会社で年末調整してもらえると思われている方がかなりいらっしゃいます。
ということは、実際会社で年末調整を担当されている方が同様の相談をお受けになっているのではないかと想定されます。
また、その相談を聞いておられる関与税理士や社労士もいらっしゃるでしょうからきちんと対応いただけたらと思います。
【事務所お知らせ】確定申告しているから年末調整しなくて大丈夫⁉
別の従業員からこんな質問を受けることも。
年末調整はしなければならないことになっています。いわゆる「義務」です。
正確にいうと、給与所得者の扶養控除等申告書を提出している人で会社から支払われる給与総額が2,000万円以下の人は年末調整をしなければなりません。
ですので、授業員から給与以外に収入があって毎年確定申告をしなければならない人であったとしても、その給与については年末調整をする必要があります。
実際、確定申告をするからという理由で年末調整をしていない従業員もおられるかもしれません。
この場合には扶養控除等申告書を提出しない方(乙欄)として源泉徴収をすべきです。
乙欄で源泉徴収の計算をしますと毎月の給与支払い時に大きな税金を差し引くことになりますのでそれを了解してもらう必要があります。
いや、扶養控除等申告書を提出するんだ(甲欄で源泉徴収)という場合には年末調整をしなければならないことを説明すべきです。
まとめ
今日は年末調整で従業員から受ける質問について事例とともに解説してみました。
参考になれば幸いです。
では。