障害年金と障害者控除との関係性

今回は公的年金のうち病気やケガなどにより障害をお持ちの方が請求できる障害年金と、所得から控除される障害者控除との関係について書いてみます。

生活保障としての障害年金をもらうことと、その障害年金をもらう本人や家族が障害者控除を受けられるかどうかは一致しないことがあります。

障害者手帳と障害年金

障害年金は、障害者手帳を持っているかどうかで決まるものではありません。

障害年金は、障害の状態だけではなく、

  • 初診日(はじめて病院にかかった日)において国民年金または厚生年金に加入しているかどうか
  • 厚生年金や国民年金に保険料納付や免除申請をしているか
  • 障害認定日(初診日から1年6か月経過か症状が固定)において障害の状態に該当するか

これらすべての要件を満たすかどうかで判断されます。

等級は、障害基礎年金の場合には1級と2級があり、障害厚生年金の場合は1級から3級まであります。重度の方から1級⇒2級と続きます。

ここで、障害者手帳には多くの種類がありますよね。

  • 身体障害者手帳:身体上の障害がある人に対して、知事や市長が交付するもの
    (視覚障害、聴覚平衡機能障害、音声言語機能障害、肢体不自由、心臓腎臓呼吸器障害、ぼうこう直腸機能障害、HIV免疫機能障害、肝臓機能障害など)
    等級は重度の人から1級から7級まであります。
  • 精神障害者保健福祉手帳:精神障害のある人に対して、知事や市長が交付するもの(統合失調症、うつ病や躁うつ病の気分障害、てんかん、薬物やアルコール等の中毒依存症、精神遅滞を除く器質精神病、非定型精神病、睡眠障害や行動障害などその他)
    等級は重度の方から1級から3級まであります。
  • 療育手帳:知的障害児・知的障害者に対して、知事や市長が交付するもので、児童相談所や知的障害者更生相談所において知的障害であると判定されたら交付される
    等級は、重度(A)かそれ以外(B)で判断されます。

障害者手帳と障害年金は別の制度であり障害等級の基準も違うため、障害者手帳の等級と障害年金の等級が同じになるわけではありません。

例えば、心臓にペースメーカーを付けた場合には、身体障害者手帳は1級ですが、厚生年金の障害等級では3級に該当します。

そのため、仮に国民年金期間に初診日があると障害基礎年金での請求となりますので3級では該当しないことになります。

もちろんペースメーカーを付けた事実だけでなくその他の数値等の総合的な判断により2級以上に該当する場合もあります。

精神障害者保健福祉手帳も同じで、手帳が交付されたからといって要件を満たさなければ障害厚生年金や障害基礎年金がもらえるとは限りません。

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障害者控除を受けられるかどうか

では、税法における障害者控除についてみてみます。

障害者控除とは、本人が障害者である場合やその配偶者や扶養親族が障害者である場合に、本人の所得から次の金額が控除されます。

  • 障害者:1人につき27万円
  • 特別障害者:1人につき40万円
  • 同居特別障害者(配偶者や扶養親族が):1人につき75万円

障害者や特別障害者に当たるかどうかは、手帳など客観的な資料があるかどうかで判断することになっています。

つまり、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳・療育手帳があれば障害者控除が受けられますし、重度であれば特別障害者として控除額が大きくなります。

特別障害者は、身体障害者手帳では1級と2級、精神障害者保健福祉手帳では1級、療育手帳ではAの場合が該当します。

ですので、例えば障害基礎年金をもらっているという事実だけでは障害者に該当するとは認められず障害者控除を受けることができないので注意です。

この場合でも、障害者手帳の交付要件を満たしていれば交付を受けることにより障害者控除を受けることができます。

まとめ

今回は、障害年金と障害者控除の関係についてまとめてみました。

障害者手帳と障害年金の等級はイコールではないことと、障害者控除を受けるには客観的な資料としての障害者手帳の交付が必要です。

したがって、障害年金をもらっているからといって障害者控除が受けられるわけではないということも押さえておきたいところです。

税金と年金との違いがこんなところにも表れています。

では。

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