国民健康保険料を世帯主ではない人が払っていた場合の社会保険料控除

国民健康保険料を払いますと所得税の確定申告で所得から社会保険料控除を差し引くことができます。

国民健康保険料を支払う義務のある人は世帯主となっていますが世帯主以外の人が払った場合社会保険料控除はどうなるのでしょうか?

健康保険と国民健康保険の違い

健康保険と国民健康保険はどちらかに必ず加入をしないといけないことになっています。

病気やケガをしたときに病院にかかるときに原則として3割負担で受診できるというのが典型例です。

ざっくりとですが、健康保険はお勤めされている方が加入しそれ以外の方が国民健康保険に加入をします。

国民健康保険は、お住まいの市区町村が世帯の加入者の人数や前年の所得をもとに計算をして、世帯主に通知書(納付書)を送付してきます。

国民健康保険料を払う義務を負っているのは世帯主です。

世帯主が世帯分をまとめて納付書または口座振替などでお住まいの市区町村に納付するのが一般的です。

社会保険料控除の対象となる金額

社会保険料控除とは、世帯主や世帯主と生計を一にする配偶者、その他の親族が負担すべき社会保険料を払った場合に、払った金額全額を所得から差し引くことができます。

この社会保険料には国民健康保険料も含まれていますので、国民健康保険料を払ったら払った金額全額が社会保険料控除になります。

この中で「本人が払ったもの」だけが社会保険料控除の対象になる、というのが原則です。

世帯主は国民健康保険料を払う義務があるため納付書は世帯主宛に届きます。

しかし、国民健康保険料を実際に支払った人が社会保険料控除を受けることができますので、世帯主以外の人が国民健康保険料を払っていることもありえます。

ちなみに、口座振替によって国民健康保険料を払った場合には、口座名義の本人が社会保険料控除を受けることになります。

世帯主と国民健康保険料を実際に払っている人が異なっている場合

ここでひとつ事例を考えてみます。

住んでいる市区町村から令和6年中に払った以下のような国民健康保険料の納付確認書を取り寄せました。

世帯主はAさん。世帯の納付済額が75万円で納付書で払っています。

妻Bさんと子Cさんも国民健康保険に加入しています。

この場合、納付額を全額一人で払うと以下のようになります。

  • 世帯主Aさんが75万円全額払った:Aさんの社会保険料控除75万円
  • 妻Bさんが75万円全額払った:Bさんの社会保険料控除75万円
  • 子Cさんが75万円全額払った:Cさんの社会保険料控除75万円

一方で、各人別明細のようにAさんが30万円、妻Bさんが25万円、子Cさんが20万円を払っている場合にはそれぞれ払った金額を社会保険料控除にできます。

  • 世帯主Aさんが30万円払った:Aさんの社会保険料控除30万円
  • 妻Bさんが25万円払った:Bさんの社会保険料控除25万円
  • 子Cさんが20万円払った:Cさんの社会保険料控除20万円

ただし、上記のような各個人ごとの納付確認書は交付されないのが一般的です。

各個人ごとの明細は市区町村に問い合わせることで教えてもらえますが、世帯内で個人ごとに金額を出し合って納付されていることもあろうかと思います。

その場合は、年間に払った合計額(今回の場合は75万円)を越えない範囲で、実際に支払った人が支払った金額を社会保険料として申告することになります。

支払った証明書類は添付不要

国民健康保険料については、確定申告の際に領収書や納付確認書など支払った事実のわかる書類を添付する必要はありません。

理由は、誰が・いくら支払っているかは市区町村で把握できるからです。

先ほどの例でいくと、世帯主Aさん以外の妻Bさんが75万円全額払っているならその事実は市区町村でもわかります。

ただし、確定申告時期に納付確認書を取り寄せた妻Bさんがいたとします。

世帯主Aさんが75万円全額払っているのに妻Bさんが勝手に納付確認書に書かれてある自分の25万円を社会保険料控除の対象にすると間違いです。

妻Bさんは払った事実がないのに控除を受けてしまっているからです。

まとめ

記帳指導であいまいな回答をして再度市区町村のホームページを見た結果間違って案内をしたことがわかったので備忘録も兼ねて書いてみました。

特に参考になったのは、長野県茅野市ホームページです。

国民健康保険税の納付済額について(年末調整・確定申告)~よくある質問~ - 茅野市ホームページ(保険課)
国民健康保険税の納付済額について(年末調整・確定申告)~よくある質問~

具体例を踏まえて書かれているところがあまりなかったのでとても勉強になりました。

参考になれば幸いです。

では。

タイトルとURLをコピーしました