アメリカに住んでいる日本人が日本の公的年金を請求する場合の手続きと課税関係

海外にお住まいの日本人の方が増えてきています。

年金相談の現場でも一時帰国されて年金請求の手続きをされる方もいるくらいです。

今回は、アメリカに住む日本人の方にターゲットを絞って書いてみたいと思います。

社会保障協定がある

日本とアメリカには社会保障協定が定められています。

日本とアメリカ両方で年金をかけていた場合には通算(合計)して年金を受け取る権利があると判断されます。

アメリカに住んでいる人が日本の年金を請求する場合、以前は直接日本の年金事務所に年金申請をする必要がありました。

しかし、社会保障協定により、協定相手国の実施機関でも日本の年金申請書を提出することができます。

日本年金機構のホームページによると、

  • 社会保障庁
  • 内国歳入庁
  • 在日米国大使館

が実施機関となっているようです。

【事務所お知らせ】  

日本の公的年金の請求手続き

日本の公的年金の請求方法は、日本人と同じように年金請求書で行います。

年金請求書は年金事務所に備え付けてありますし、添付書類が必要だったりしますので請求前に一度ご相談をいただいたほうが確実です。

アメリカに住む日本人の課税関係

老齢年金については日本の所得税法では雑所得として税金がかかります。

アメリカに住む日本人が日本の老齢年金を受け取った場合には、アメリカで税金がかかるとともに日本の税金もかかってしまいます。

しかし、日本とアメリカとの間では租税条約が結ばれておりアメリカで税金をかける一方で日本では税金がかかりません。

租税条約のほうが日本の所得税法よりも優先されます。

そのため、租税条約の特典を受けるために「租税条約に関する届出書」の提出が必要となります。

日米租税条約では、アメリカに居住することが証明できるものだけが租税条約の特典を受けることができるとされています。

そのため、租税条約に関する届出書だけではなく「特典条項に関する付表」の提出が必要です。

付表には、居住地国の権限ある当局が発行した居住者証明書を添付することになっています。

アメリカの場合には「内国歳入庁(IRS)が発行した居住者証明書」となります。

ただし、日本の老齢年金の金額が少額の場合にはそもそも税金がかかりませんので租税条約に関する届出書や特典条項に関する付表の提出が不要になる場合もあります。

租税条約に関する届出書などを提出

アメリカにお住まいの方が日本の公的年金(老齢年金)を請求される場合には、年金事務所に年金専用の租税条約に関する届出書と特典条項に関する付表を提出します。

日本年金機構ホームページからもダウンロードできます。

租税条約に関する届出書(様式9)です。

年金等の支払先は厚生労働省であることからすでに印字されています。

赤く囲まれた記入箇所を記入すればOKです。

裏面は特に記入する必要はありません。

そして、特典条項に関する付表(様式17-米)です。

こちらも赤く囲まれた記入箇所へ記入をし、さらにIRSが発行した居住者証明書を添付する必要があります。

居住者証明書の事前取得を

基本的に年金請求自体は年金事務所でできますし、租税条約に関する届出書などの書類もその時に記入することができます。

ただし、居住者証明書に関しては発行までに時間がかかるのが一般的ですので年金請求と同時に提出できるように事前に準備しておかれることをおススメします。

まとめ

今回は、アメリカに住む日本人が日本の年金請求(老齢年金)をされる場合の手続きについて租税条約に関する届出書の内容を多めに書いてみました。

ちなみに、日本の公的年金のうち障害年金や遺族年金は税金がかからないために租税条約に関する届出書の提出は不要です。

では。

 

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