個人事業主の方が確定申告をする場合には、決算書を添付する必要があります。
この際、残高があっていないにもかかわらず確定申告をしてしまうケースがあります。残高が合わない原因をきちんと調べないとあとで大変なことになります。
残高チェックと前年比較
決算書には大きく損益計算書と貸借対照表があります。
残高を示すのは貸借対照表ですのでこの数字と手元の残高が一致しているのかどうか確認をします。
一致していなければ貸借対照表だけでなく損益計算書も間違っている可能性が高いです。
ちなみに、青色申告特別控除で10万円を受ける方については損益計算書の添付のみでよいことになっていますが残高は必ず確認しておいたほうがいいです。
中でも残高を確認しておいたほうがいいのは、
- 現金
- 普通預金
- 売掛金
- 固定資産
- 買掛金
- 借入金
- 未払金
あたりです。
なぜか。
帳簿上の数値と書類とを突き合わせることが可能だからです。
例えば、普通預金だと12月31日の預金通帳の残高とあっているかどうか。
売掛金は得意先に売ったあと12月31日にまだ回収できていない分です。これも請求書などを見れば確認ができます。
借入金は、12月31日現在の返済予定表などを確認します。
特に、現金と普通預金については青色申告特別控除10万円で申告をされる場合でもチェックしたいところです。
現金と普通預金でマイナスの残高になることはありませんのでどこかで間違えています。
この間違いが損益計算書の売上や経費にも影響を与えるのが一般的です。
このほか、前年の数字と比較してみてとんでもない数字が計上されていないかチェックをしてみるのもおすすめです。
【事務所お知らせ】残高が合わない原因
では、残高が合わない原因をいくつか見ていきます。
これらは普通によくあるミスですので押さえておくといいでしょう。
金額の入力誤り
会計ソフトなどに入力をする際や手書きで決算書を作成する場合に、6と9を間違えたり0をひとつ多くしてしまうという場合です。
この場合にはだいたい残高をチェックすればどこか間違えているかは明らかにわかります。
借方と貸方を逆に仕訳
会計ソフトの入力で複式簿記の方法により経理をされている方の場合には借方と貸方を逆に仕訳されている場合には残高が合わない原因となります。
例えば、
を、
といったような場合です。
この場合には、普通預金の通帳の残高とあってきませんのでこれも明らかに間違いだと判断できます。
会計ソフトの連携機能
最近の会計ソフトでは、預金口座やカード決済のデータを自動で入力できる機能があります。
自動入力されているにもかかわらず手入力で同じ内容を入力してしまったりすることがあります。
例えば、請求書を発行して会計ソフトへ手入力で売上を入力した場合、それが入金されたときに売上を自動入力してしまうと、売上が二重計上されてしまいます。
自動入力できる機能は便利ですが必ず予想どおりに入力ができているかどうか確認をしておきましょう。
自動入力を信じすぎないことも大事です。
クラウド会計ソフト「freee」を使っている方へ
私はクラウド会計ソフトfreeeを使っている方で残高があっていた個人事業主の方をいままで見たことがありません。
一方で入力を途中で挫折される個人事業主の方はけっこういらっしゃいます。
freeeは自動で入力できる機能があるクラウド会計ソフトでうまく使えたらとても入力がしやすいソフトだと思います。
しかしここには落とし穴があって、ある程度会計の仕組みがわかっているならという前提があります。
「自分で入力できた！」と思っていたら残高がマイナスだったり極端な数字になっているケースが多いのです。
私は別にfreeeを使わないようにとは言いませんが、freeeを使って入力されたものを見ると「多分残高あってないだろうな…」という想定ができてしまっています。
残高があっていないということは損益計算書すら間違って出来上がってしまっている可能性が高いです。
まとめ
損益計算書だけを提出される場合であったとしても現金・普通預金など手元で残高が確認できるものは確認しておきましょう。
残高が合わない原因はほかにもありますけど、多くは些細なミスから来るものです。
でもここで直しておかないと売上や経費も合ってきませんので慎重になりたいところです。
では。